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マンション管理組合の当事者適格-誰が原告になれるか- 山上知裕(福岡・弁護士)

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弁護士 山上 知裕(福岡)

法務大臣の諮問機関である法制審議会 (以下 「法制審」 といいます) は、 「区分所有建物の管理の適正化、 その建替えの実施の円滑化等の観点から、 建物の区分所有等に関する法律を見直す必要があると思われるので、 その要綱を示されたい」 との諮問を受けて、 平成13年6月5日を第1回として平成14年3月5日まで9回の法制審区分所有法部会を開催し、 中間試案をとりまとめ公表しました。 その後国民各層からの意見を公募するパブリックコメントの期間を経て、 6月4日に審議を再開、 9月3日には要綱案を決定し、 秋の臨時国会にも改正法案を提出するという極めて忙しいスケジュールで進んでいるところです。 幸いにして私は審議会の幹事として参加してきましたので、 これまでの審議状況を紹介させていただきます。

さて改正案の中身ですが、 最も問題なのは、 ①建替制度をめぐる問題、 ②不公正原始規約をめぐる法規制の問題、 ③損害賠償請求をめぐる管理組合の原告適格の問題です。
ここで取り上げるのは③の損害賠償請求をめぐる管理組合の原告適格の問題です。 近年の判例は欠陥マンションであることに由来する損害賠償請求については、 管理組合 (理事長) では裁判を起こすことができないとしていました。 つまり損害賠償請求権というものは金銭債権だから個々の区分所有者に分割帰属するから、 というのがその理由です。 しかしマンションの物理的構造部分は殆どが共用部分であり、 その管理、 補修は管理組合によって行われています。 従って、 マンション管理実務とは著しく隔たった結論でした。
審議会においても法改正の必要性に委員間にも異論はなく、 改正案要綱には以下の条項が盛り込まれることとなりました。
「第2  管理者及び管理組合法人の代理権及び当事者適格
1 管理者は、 共用部分並びに第21条に規定する場合における当該建物の敷地及び附属施設について生じた損害賠償  金及び不当利得による返還金の請求及び受領に関し、 区分所有者を代理するものとする (第26第2項参照)。
2 管理者は、 規約又は集会の決議により、1の請求及び受領に関し、 区分所有者のために、 原告又は被告となることができるものとする (同条第4項3照)。 3 管理組合法人の代理権及び当事者適格に関しても、 1及び2と同様の措置を講ずるものとする (第47条第6項参照)」
しかしこの要綱では 「損害賠償金及び不当利得による返還金の請求」 とのみ記されているため、 瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求については、 契約責任であるため、 マンションが転売された場合の現在の区分所有者は分譲業者との間の直接の契約当事者ではないことから、 これを行使できるのかについてはさらに争点となる可能性が残りました。 (法制審議会区分所有法部会幹事)
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