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日弁連欠陥住宅110番の結果報告 畑中 潤(福岡・弁護士)

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畑中 潤(福岡・弁護士)
1、 実施状況
平成12年7月に日弁連の第5回欠陥住宅110番が実施され、 全国の弁護士会の内39会に相談が寄せられました。
相談を担当した弁護士数は、 前回より約30人増え 383人、 協力建築士数も初めて 100人を超えました。

2、 集計結果
a、 全相談件数は、 717件であり、 各ネットにおける日常的な相談活動が広く行われる中、 予想外に多くの相談が寄せられました。
これらの相談を建物の用途、 種類別にみると、 76%が居住用戸建住宅の相談で、 マンション、 アパートの相談が15%、 その他が9%となっています。
b、 工法別の集計では、 在来木造建築が 354件と約半数を占め、 RC造・SRC造が 109件、 鉄骨造建築が67件、 ツーバイフォー工法が41件、 プレハブ・パネル工法が36件でした。
c、 設計・監理について, 施工業者以外の建築士に依頼したものは、 それぞれ57件、 29件と極めて少なく、 欠陥住宅被害の殆どが設計、 施工、 監理の分離がなされていないことが大きな要因になっていることが窺われます
d、 相談者が訴える欠陥現象として件数の多かったものとしては、 ①雨漏り (171件) 、②外壁・内壁の亀裂 (146件) 、③ドアや障子が閉まらない (69件) 、④床や外壁の傾き (66件) 、⑤床鳴り (66件) の順となりました。
e、 これらの欠陥現象が生じる原因が一応判明しているものは、 112件に過ぎず、 その内、 地盤や基礎の構造に問題のあるものが44件と最も多く、 次いで重要な構造部分の緊結方法に問題があるものが26件でした。
f、 今回の110番では、 ①被害防止の事前措置について②住宅の品質確保の促進等に関する法律 (品確法) についてのアンケートも実施しましたが、 何らかの事前措置を講じたとの回答は64件 (15%) しかなく、 事前措置の内容も自分自身で現場に通ったというものが35件と最も多く、 施工と監理の分離を意識したものは僅か6件でした。 又、 品確法について知っている人は 717人中 187人、 性能表示制度を知っている人は、 132人しかおらず、 住宅紛争審査会に至っては、 知っている人は59人 (8%) に過ぎませんでした。 今後は、 各ネットにおいても欠陥住宅被害の防止・救済のための啓蒙活動により一層力を入れる必要があるのかもしれません。

3、 日弁連の欠陥住宅110番は、 その統計的価値の高さから日弁連や全国ネットが意見表明や提言をするときに裏付けデータとして活用されてきましたが、 本年も実施されるのかについては今のところ未定です。
日弁連欠陥住宅110番は、 データを外部に公表する場合、 一定の制約があることや、 110番後の被害救済に必ずしも結び付いていない点が問題点として指摘されてきましたが、 実施主体が日弁連である限りこれらの問題を克服することは非常に困難です。
そこで、 日弁連に代わり、 各ネットが全国一斉の110番を実施することを考える時期がそろそろ来たのではないかという気がしています。

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