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◆特集その1・日弁連人権大会  1.日弁連人権大会・シンポジウムの概要 谷合周三(東京・弁護士)

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【特集その1・日弁連人権大会】
1.日弁連人権大会・シンポジウムの概要
弁護士 谷合周三(東京)
2005年11月10日、鳥取において、日本弁護士連合会第48回人権擁護大会第3分科会シンポジウム 「日本の住宅の安全性は確保されたか─阪神・淡路大震災10年後の検証─」が開催され、翌11日、同大会で、「安全な住宅に居住する権利を確保するための 法整備・施策を求める決議」がなされ、①人権宣言と住宅安全基本法の制定、②建築士の監理機能の回復と独立性の確保、③建築確認・中間検査・完了検査制度 の改善、④耐震改修制度の充実を目指すべきことが確認された。  欠陥住宅問題について、日弁連史上はじめて人権問題として捉えて開催された、この人権大会の概要を簡潔にご報告させていただく。なお、同分科会では、詳 細な基調報告書を作成公表しているので、詳細は、基調報告書を参照されたい。

第一部 地震と欠陥住宅被害
以下のとおりの映像や被災者の遺族の方々の思いの朗読などによって、地震、欠陥住宅による悲痛なまでの被害の深刻さが、あらためて思い知らされた。
1 「5時46分の衝撃」
阪神・淡路大震災の経験を語り継ぎ、その教訓を未来に活かすために神戸に建てられた記念館「人と防災未来センター」で放映されている衝撃的な地震被害の再現映像である。

2 地震直後のドキュメント映像
続いて、株式会社サンテレビジョンが製作した阪神・淡路大震災発生直後の被災地の現実の被害状況を撮影した映像である。

3 震災被害者の声の朗読
神戸大学工学部建設学科塩崎研究室等3つの研究室が、震災被害者の遺族の方々の協力を得て、被災状況の調査を実施した。その調査の記録は、亡くなった 方、生き残った方の思いが詰まった貴重なものである。鳥取大学の学生サークル「劇団あしあと」の協力を得て、これらの被害者の声が再現された。

4 構造欠陥のある住宅の映像
地震による建物崩壊等が現実化していなくとも、構造上の欠陥により現に苦しめられている方々の被害事例4例が、ビデオ映像により紹介された。

第二部 阪神・淡路大震災10年後の検証
1 基調報告
河合敏男弁護士から、阪神淡路大震災によって、欠陥住宅問題が社会問題化したこと、欠陥住宅の発生原因は、わが国の建築生産システム自体に問題がある こと=①施工の問題(重層的な下請け構造)、②監理の問題(監理の形骸化)、③行政による検査の問題、不十分な中間検査と完了検査=、既存不適格建物の問 題(建築当時の建築基準法令には適合していたもののその後改正された建築基準法令に適合しない建物)等があることが、日弁連消費者問題対策委員会土地住宅 部会のこの10年間の活動(数年間の欠陥住宅110番活動、10か国を超えるほどの海外調査結果、「いま、日本の住宅が危ない!」、「欠陥住宅被害救済の 手引き」、「家づくり安心ガイド」、「消費者のための家づくりモデル約款」等の出版等)の紹介を交えて、わかりやすく説明された。

2 講演
立命館大学法科大学院法務研究科の松本克美教授による「欠陥住宅訴訟の到達点と課題─住宅の安全と法的責任」とのテーマでの講演があり、3つの最高裁 判決〔①建替費用相当額の賠償請求認容(最判平成16年9月24日判決)、約定に反した太さの柱を瑕疵と認定(最高裁平成15年10月10日判決)、名義 貸建築士の不法行為責任(最高裁平成15年11月14日判決)〕が紹介され、各判例が、住宅の安全と法的責任にとって有する意義などが解説された。

第三部 「安全な住宅に居住する権利」の実現をめざして
1 演劇
鳥取大学・劇団あしあとによって、演劇「夢の代償」が上演された。3階建て、木造住宅を購入して、幸せに暮らしていた家族。実は、それが欠陥住宅で あっため、大規模地震に罹災して、建物が倒壊して、妻と子が圧死し、夫が取り残され、莫大な住宅ローンが残ってしまった壮絶な欠陥住宅被害を描いた演劇で あった。

2 プレシンポジウムの報告
以下のとおりの各地で行われたプレシンポジウムの成果が報告された。
(1)2005年5月28日の近畿弁護士連合会主催プレシンポジウム
(2)2005年7月23日の東北弁護士会連合会主催プレシンポジウム
(3)2005年9月10日の中国地方弁護士会連合会主催プレシンポジウム
(4)2005年9月17日の京都弁護士会主催プレシンポジウム

3 パネルディスカッション「安全な住宅に居住する権利」の実現をめざして
パネリストとして、坂本功氏(東京大学大学院工学系研究科教授)、河野進氏(東京地裁調停委員・前社団法人日本建築家協会副会長)、小川富由氏(国土 交通省住宅局建築指導課長)、飯山道久氏(社団法人日本木造住宅産業協会技術開発部長)を迎え、神哲弁護士がパネルに加わり、岩城穣弁護士がコーディネ イターを務めて、会場からの質問や意見も交えて、①阪神・淡路大震災の教訓、②この10年間の立法・行政の取り組み、③欠陥住宅問題は、解決に向かってい るか、④建築士制度の改革─「登録監理建築士制度」の提案、⑤既存不適格住宅の問題、⑥住宅安全基本法をテーマに活発な議論がなされた。
最後に全体総括が吉岡和弘シンポジウム実行委員会委員長等からなされて、本シンポジウムで安全な住宅に居住する権利を獲得・実現するために検討すべき課題と将来展望について、総合的に検討することができたこと等が確認されて閉会となった。











































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