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◎「消費者のための欠陥住宅判例」[第3集]の出版報告 谷合周三(東京・弁護士)

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「消費者のための欠陥住宅判例[第3集]
─被害救済の新たな地平をめざして─」の出版報告
弁護士 谷合周三(東京)

欠陥住宅訴訟において、全国各地で勝ち取られた勝訴判決を収集し、2000年5月に「消費者のための欠陥住宅判例[第1集]」、2002年5月に「消費 者のための欠陥住宅判例[第2集]」を発行していましたが、今般、その後の欠陥住宅判例を収集して、現在の司法救済の到達点を示す待望の判例第3集を発行 しました(2004年11月)。
第3集では、判例編として、以下の3つの最新重要最高裁判決を含めて、戸建て住宅19件、マンション1件、増改築1件の計21件の最新重要判例を収録しています。

1 第3小法廷平成14年9月24日判決
請負人に、建て替え費用相当額の損害賠償責任を認めることは、契約上の履行責任に応じた損害賠償責任を負担させることであって、請負人にとって過酷とはいえないとして、建て替え費用相当額の損害賠償責任を認めた事例。

2 第2小法廷平成15年10月10日判決
請負契約において、約定に反する太さの鉄骨が使用された場合には、構造安全性には支障がないとしても瑕疵と評価すべきことを認め、契約違反でも構造計算上安全性に問題がないとして瑕疵を認めなかった原判決(大阪高裁)を破棄した事例。

3 第2小法廷平成15年11月14日判決
建築確認申請書に自己が工事監理を行う旨の実体に沿わない記載をした一級建築士の責任について、建築士法及び建築基準法による建物の構造安全性確保のた めの制度を詳細に認定したうえ、「建築物を建築し、又は購入しようとする者に対して建築基準関係規定に適合し、安全性等が確保された建築物を提供すること 等のために、建築士には建築物の設計及び工事監理等の専門家としての特別の地位が与えられていることにかんがみると、建築士は、その業務を行うに当たり、 新築等の建築物を購入しようとする者に対する関係において、建築士法及び法(建築基準法)の上記各規定による規制の潜脱を容易にする行為等、その規制の実 効性を失わせるような行為をしてはならない法的義務があるものというべきであり、建築士が故意又は過失によりこれに違反する行為をした場合には、その行為 により損害を被った建築物の購入者に対し、不法行為に基づく賠償責任を負うものと解するのが相当である」と判示した事例。

また、資料編として、近時の請負契約事例に関する最高裁判例10件を紹介し、その意義等の解説等も行っています。
その他、最高裁判決のほかにも、重要な下級審判例を紹介しています。例えば、
 売主側・買主側双方の仲介業者に、瑕疵(建物の傾斜)について、一定の調査(確認)義務、告知説明義務を認めた事例、
 基礎の欠陥について、後からのコンクリート打ち継ぎによる補修を否定した事例、
 慰謝料900万〔欠陥住宅に居住させられたことで700万、経済価値下落で200万(代金の3%)〕を認めた事例など。
以上、本書は、欠陥住宅被害に取り組む実務家にとって、必携の判例集といえます。

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