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◎パネルディスカッション「問題鑑定にどう打ち勝つか!~具体的事例をもとに~」   [1]パネルディスカッションの概要 吉岡和弘(仙台・弁護士)

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パネルディスカッション
問題鑑定にどう打ち勝つか! ~具体的事例をもとに~

[1]パネルディスカッションの概要
弁護士 吉岡和弘(宮城・弁護士)

1 問題の所在
欠陥住宅訴訟には二つの山がある。一つは欠陥の存在を認めさせる、もう一つは認定された欠陥をどう補修させるかであるとし、前者の認定はそこそこになさ れるようになったが、後者の補修方法については未だに業者側に有利な(被害者側には満足できない)膏薬ばり的補修方法しか認めない現実がある。その原因と して、「裁判上の鑑定」の中に余りにも出来の悪い「問題鑑定」が多すぎることが挙げられる。これをどのように克服したらいいのか、会員の悩みは深く、全国 大会で裁判上の鑑定の問題点と今後の対策を議論しようではないかということになった。

2 討論
まず、各パネラーから、各人が取り扱った問題鑑定についての報告がなされた。これについては各パネリストの報告を参照されたい。
各報告の後、これらの問題鑑定をどのように克服すべきか議論がなされた。
① 鑑定人に面談して鑑定内容のおかしさ認めさせた上で陳述書をとり、これを裁判所に提出して鑑定結果を翻させた。
② いいかげんな鑑定書を書いた鑑定人の尋問を要求したところ、裁判所は鑑定人に書面で質問し、これに対する反論書を当方が提出し、更にこれを鑑定人に 送付し反論させるなどした結果、最終的には鑑定人からは「誤りの指摘は正しく反対する理由はありません。私自身も個々の欠陥が良いか悪いかと尋ねられれ ば、悪い・直すべきと答えます。」などと鑑定結果を訂正する書面を書かせた。
③ 被害者から「私の家を鑑定した人は大手ゼネコン出身の人でした。この方は他の裁判所にも鑑定人として顔を出し、同じく主観的判断をして被害者側弁護 士からの反対尋問でコテンコテンにされている人だ。どうして同じ人が、しかも、こんな程度の悪い人がいろんな裁判に再三登場するのか、事件あさりをしてい る人ではないか。最高裁と建築学会はもっとましな人を鑑定人に選任してほしい」との憤った発言もあった。
④ また、アメリカからご出席されていた元カリフォルニア州構造エンジニア協会副会長のトム亀井氏は「耳を疑いながら皆さんの話を聞いていた。コンク リートの強度が不足している話がたくさんでてきたが、コア抜きや、強度検査は行われていないか。アメリカでは雨ののちに直ぐ作業するのは禁止されている。 建築士の倫理が十分ではないのではないか。日本からアメリカのインスペクター制度を勉強していかれたが、「この程度はやむを得ない」というあいまいなやり 方では、インスペクター制度も広がらない。」などとの発言を頂いた。
⑤ 本来、両当事者が私的鑑定を提出しているのだから、裁判所は、この双方の意見書で判断をなすべきであり、裁判上の鑑定は、どうしても両当事者の意見 書だけでは決着がつかない専門的知見についてのみ鑑定をさせるべきだ。裁判官は鑑定人に判断を丸投げしているのではないか。
⑥ しかし、現実問題として、裁判官は、裁判上の鑑定に頼ろうとし、裁判上の鑑定は避けられない以上、いい鑑定人を選任する仕組を真剣に模索すべきだ。当ネットに参加している建築士からも、積極的に裁判上の鑑定に関与していく必要があるのではないか。
⑦ 大きな問題は、裁判所が瑕疵補修についての判断基準を確定していないからではないのか。当全国ネットから瑕疵補修についての判断基準を提示する必要があるのではないか。
⑧ 私も基準の不明確化を感じる。鑑定人によって違うのであろうが、建築士として「建替えせよ」という意見を出すことに躊躇を感じている人もいるのではないか。人選の過程も分からない。鑑定人の過去の経歴は明らかにすべきだ。
⑨ 現場で大工任せにして調査をしないようないい加減な者は論外として、真面目な人でもおかしい鑑定をだす。心情面から考えると、建築士の良心・職業病 からか、「取壊すよりどうにか建物を生かしたい」などという考えだ。被害者は苦しみ、契約どおりの補修を求めている。
⑩ 鑑定人は背後にいろいろな事情を背負っている。大学教授にしても教え子が大手ゼネコンに入っている。批判できるはずがない。同業者のかばい合いだ。
⑪ 当ネットに所属する鑑定人と原告代理人との関係をあげつらって「不公正」などと指摘する業者もいる。しかし、当事者との関係なら別だが、専門家同士 の問題を取り上げるのはおかしいだろう。裁判所も裁判上の建築士として登場するとその建築士の意見を丸呑みするが、同じ建築士が私的鑑定人として登場する と聞く耳を持たないという笑い話のような現実がある。
⑫ いい鑑定人を育てる必要がある。私のところでは品確法の勉強をしている。この場でこちらの考えを示すと一定の理解を得る場になるのではないかと思 う。基準が明確でないという話だが、基準法違反は違反だとして、かぶり厚がどれくらい足りないのか。補修方法の判断基準まで示していかないと解決にならな いのではないか。私的鑑定書についても十分でないこともあろう。私的鑑定書の充実も必要なのではないか。
⑬ 裁判の鑑定は怖い。私的鑑定で不十分なら棄却してくれといってきた。しかし、裁判官は業者側に申請をさせる。尋問に入る前にガイダンス尋問を行って いる(2時間位原被告のフリーディスカッションをする)。鑑定尋問は必ずやる。鑑定の手続き・手順をはっきりさせる。悪い鑑定人を見つけることができる。

3 まとめ
以上、悪い鑑定結果が出されると、これを覆すために多大な時間と労力を投入しなければなならない実態が披露された。補修方法の判断基準の明確化、鑑定人 の資質、費用の基準の明確化など客観的根拠がない現状を変えていく必要がある。そのために、建築士団体が建築士の資質を向上させる必要がある。また、日本 建築学会司法支援会議は鑑定人教育、鑑定人リスト・費用の明確化など、透明な選定手続の中で良質な学者や建築士を鑑定人に送り出すよう配慮すべきである。 そして、裁判官は鑑定人への判断の丸投げをせず、自分の頭で被害者救済の視点に立った欠陥補修策を構築すべきである。そのためには私達も被害者側の私的鑑 定書で裁判官を十分に説得し切れていないのではないか反省する必要もある。私的鑑定書をさらに一層充実させて裁判上の鑑定を行う必要がない状況を作り出す 必要がある。
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