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◎パネルディスカッション「問題鑑定にどう打ち勝つか!~具体的事例をもとに~」   [2]パネリストの報告     ②施主側申請の鑑定が業者側申請の鑑定を斥ける 柘植直也(愛知・弁護士)

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パネルディスカッション
問題鑑定にどう打ち勝つか! ~具体的事例をもとに~

[2]パネリストの報告

② 施主側申請の鑑定が業者側申請の鑑定を斥ける
弁護士 柘植直也(愛知・弁護士)

私のご紹介する事件は、愛知ネットの会員が担当している事件ですが、私が担当している事件ではありませんので、十分な報告はできないかもしれませんので、その点をご了承願います。
この事件は、鉄骨3階建ての注文住宅で、鉄骨の溶接とコンクリートの強度が主要な争点となっているケースです。提訴から一審の判決まで7年が掛かっています。
一審段階で2度にわたって裁判所の鑑定がなされました。一度目が施主の側の申請による鑑定(以下「第一鑑定」と言います。)で、二度目が建設業者側の申 請による鑑定(以下「第二鑑定」と言います。)です。第一鑑定では、当方が鑑定人候補者を指定し、被告が反対しなかったため、そのまま裁判所に採用されて います。鑑定内容は、具体的な技術基準、法令の基準を明示して、これらに合致するかを的確に判定するもので優れた内容でした。ところが第二鑑定では、「少 し問題があると思われます。」「特に大きな問題はないと思われます。」と感覚的とも言えるような記載がされ、しかも、補修可能との結論になっており、その 結論や修補方法についても科学的根拠が示されていないものでした。
そこで、施主側の代理人は、鑑定人に対する書面による徹底した質問をすることにより、鑑定内容が根拠を欠くものであることを浮き彫りにし、また、第一鑑 定が法令や技術に準拠した説得力のあるものであることを、両者の鑑定を対比しながら説明し、裁判所に印象づけました。さらに、鉄骨の溶接の瑕疵に関する文 献や、判例集に掲載されている鉄骨造りの溶接不備による建て替えを認容した裁判例を全部提出し、これをもとに「修補不能」との主張を組み立てました。この ことにより、裁判官の態度も一変し、建て替え費用の賠償を認容する判決が出されました。そしてその理由中でも、法令の基準、具体的な技術基準、公庫基準に 合致するかどうかを基準に瑕疵を明確に認定しており、科学的根拠に基づかない第二鑑定の修補可能との鑑定意見を明確に排斥しており、大いに評価すべき判断 がなされています。
この事件では、第一鑑定の内容が優れていたことや、施主側代理人の地道な努力により、第二鑑定に打ち勝つことができました。しかし、仮に、第一鑑定がな かったとしたらどうであったかというと、このような判決が得られなかった可能性もあります。そうすると、やはり、不当な鑑定を行う鑑定人をいかに排除する システムを作るかということが重要だと思います。そのためには、少なくとも、鑑定人を決定する前段階において、鑑定人候補者の経歴、どんな立場でどんな仕 事をやってきたかに関する情報を当事者に開示する必要があります。現在そういうシステムがまったくないのは問題だと思います。
また、鑑定人が、正しい鑑定をするためには、裁判官が瑕疵に対する認識を正しく持って頂く必要があります。現在でも、「建築基準法等の法令に違反してい るか。」ということの他に「補修を要するか。」というような鑑定事項を定める場合があります。「補修方法及び金額」というのであれば正しいのですが、建築 基準法違反でありながら、補修を要しないという道を残すような鑑定事項の定め方は相当でないと思います。
加えて、鑑定人は、どちらかというと、建物を造る立場にあることから、「修補不能」「建て替えを要する」というような鑑定意見を出すことに躊躇がある人 が少なくないように思います。裁判所が、予め、鑑定人候補者と十分協議し、そのような配慮をする必要がないことを、十分に鑑定人候補者に説明し、認識して 頂くことも重要ではないかと思います。
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