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◎パネルディスカッション「問題鑑定にどう打ち勝つか!~具体的事例をもとに~」   [2]パネリストの報告     ④問題鑑定2度目の報告 山上知裕(北九州・弁護士)

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パネルディスカッション
問題鑑定にどう打ち勝つか! ~具体的事例をもとに~

[2]パネリストの報告

④ 問題鑑定2度目の報告
弁護士 山上知裕(北九州・弁護士)

1 事案の概要
(1) 当事者  X(発注者・控訴人・反訴原告・一審被告)  Y(請負者・被控訴人・反訴被告・一審原告)
(2) 建築請負契約  昭和63年12月25日契約  請負金額 4000万円/追加工事 125万円
(3) 建 物
建築場所:大分県・・・・町
構  造:鉄骨造コロニアル葺2階建
種  類:店舗兼居宅
床面積:1F281m2/ 2F112m2
(4) 工 事
基礎工事着工:平成元年8月1日
躯体工事着工:平成元年9月
引    渡:平成元年12月
(5) 裁判経過
① 裁 判 所 大分地裁中津支部
② 提訴年月日 1990年5月16日
③ 訴   額 1150万円余
④ 1審判決 平成8年9月30日
B1鑑定に全面的に依拠して補修費用100万円と認定
⑤ 控 訴 審 福岡高裁に移って半年後に代理人就任、1審代理人死亡
⑥ 控訴審に入って1999年11月26日反訴提起(C鑑定に基づき、本訴請求相殺後の残額1600万円余)
⑦ 2000年11月25日 全国ネット北九州大会で報告(「問題のあった鑑定の例」)
⑧ 2001年3月31日 控訴審2人目のD鑑定:補修費用1408万(曳き家ではなく、接地面全面に耐圧版(コンクリートスラブ)設置と薬液注入(3,304,800)による地盤改良により補修可)
⑨ 2002年2月13日 裁判長より敗訴的和解(薬液注入工事は採用しないことと、鑑定費用予納金額の計算間違いした上で)の強引な勧告
⑩ 2002年2月 F氏死亡
⑪ 2002年11月14日 控訴審判決(提訴から12年)
イ 耐圧版は全体の60パーセントで足りる
ロ 薬液注入は地盤強化工事だから必要性は認められない(主張していない瑕疵である)
ハ 補修費用は637万円である。
(6) 争点――本件建物の構造的欠陥
1審段階でXは、本件建物の構造的欠陥として、別紙図面1のとおり鉄骨中ベースプレートと独立基礎アンカーボルトがずれて施工されている問題のほか、 屋根のペンキ塗り色違いの問題、雨樋の排水不良の問題、錆止施工がなされていない問題、等々細かな瑕疵を主張し、その瑕疵修補にかわる損害賠償請求権によ る相殺の主張をした。但しベースプレートのずれについて、Xが私的に依頼したA建築士の鑑定書に添附された写真は1葉のみであり、補修費用見積も1ケ所の 補修費用として積算されていた。控訴審段階になって、XはA建築士からネガともに保管していた工事中の写真を大量に受け取り、証拠として提出した。新たに 提出した証拠写真から、鉄骨中ベースプレートと独立基礎アンカーボルトがずれて施工されている箇所は、少なくとも5カ所はあることが明らかとなった。Xは 新たに提出した写真を元に、C建築士に独立基礎コンクリートの一部破壊調査と鑑定書作成を私的に依頼し、降雨により希釈されたコンクリート成分が分離流出 していること、一体たるべき独立基礎に分離面が層をなして存在していること、補修費用は2369万円を要する(曳家法)との報告を受けた。

2 B鑑定について
1審裁判所は、B建築士に鑑定を依頼した(原審B1鑑定)。控訴審段階になってXは新たな欠陥の主張をしたため、Yは再度鑑定の申請をし、裁判所はまた もBを鑑定人に選任した(控訴審B2鑑定)。B鑑定は①鑑定判断の方法が恣意的であり、かつ判断基準が不明、②鑑定費用が高額である、等著しく問題があ る。
(1) B鑑定の判断の方法
① 鉄骨柱ベースプレートと独立基礎アンカーボルトがずれている問題
「鉄骨柱のベースプレートの一部が、柱基礎立上り部分から外れた状態になっている。しかし乍ら、地中梁の上には乗っており……構造耐力上の問題はない ものと判断する。」、「②通りの鉄骨柱については、ベースプレートの底面積の約4割程度が柱基礎立上りのコンクリート部分からはみ出していて不安定な状態 の写真となっているが、……全面的に地中梁の上に乗った状態になっていて、安定した状態となっている……から構造耐力上の問題はないものと判断する。」 (原審B1鑑定)  →建築基準法施行令等の構造基準は完全に無視し、水平荷重に対する安全性は全く考慮されていない。
② 独立基礎コンクリート中に降雨による希釈によって分離面が層をなして存在している問題
「降雨に依り一時中断された時間は約30分程度であったとのことであるが、雨が止んだ後には直ちにコンクリートの打設は再開された筈であり、当該写真 に見られるような状態になった場合でも、表面を少し掘り起こせば内部のセメントベーストは比較的に健全な状態が保たれているものであり、又、新しく流し込 まれた生コンクリートのセメントペーストと混ざり合って、殆ど問題になるようなコンクリートの強度の低下は生じないものである。又、現場の施工責任者とし ても、コンクリート打設途中で降雨に逢い、一時中断した場合には最も気を遺うところであり、最善の努力は尽くされたものと想定される。」、「素人写真を根 拠にして、本件紛争の控訴事件に発展したもの」に過ぎない。しかしそ「の原因は天災によるものである」(控訴審B2鑑定)。
→素人写真であっても、写真が物語るのは厳然たる事実。降雨があれば現場養生シートをかぶせればよかった。これが天災か。

鑑定費用 1審訴額1150万円余(ABCが裁判鑑定、Dが私的鑑定)
A鑑定 B1鑑定 B2鑑定 C鑑定 D鑑定 合計
1 審 50万円 185万円 235万円
控訴審 200万円 70万円 50万円 320万円
合 計 50万円 385万円 70万円 50万円 555万円
補修費 約1374万円 60万円 110万円 2369万円 1408万円

3 まとめ
高すぎる鑑定費用、長すぎる裁判、中身のない鑑定、中身のない鑑定のもたらす犯罪者性、鑑定人の倫理観の欠如、裁判の無力さ。
奥さんから了承を得たので、F氏からの手紙を抜粋します。
「大変お世話になりました。私はもう疲れました。先日の裁判官の言葉非常に残念です。」 「裁判官の返済に関与した言葉は、金の無い者には裁判を公平に受けられることがないようなものです。」 「焦点を一本化にさせたのも裁判官であり、ここ十数年の心痛……基礎にかかわる分の指摘では、未知の災害に余りにも否定的であり、これが十数年もかけた結論とは、裁判官もただのサラリーマンでしかないですね。」 「先生もう和解しかなければ仕方ないですね。」「先生本当にありがとうございました。感謝にたえません。」
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