勝訴判決・和解の報告 [1]契約代金の5倍の損害額を認容した事例 (京都地裁平成17年2月24日判決) |
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弁護士 加藤進一郎(京都) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Ⅳ コメント 1 判決分析(意義・射程・問題点等) (1) 損害論 代金660万円の外構工事につき、建替費用として、合計3600万円弱の損害賠償を認めた(外構工事部分に限定すれば3100万円強)。 被告からは、①欠陥現象の兆候が認められないこと、②損害は契約代金+解体費用の範囲に限定されること、③そうでないとしても、被告側の建替見積もり は1900万円余であり、その範囲に限定されるべき、という反論がなされたが、裁判所は原告側の鑑定意見のとおり認定。不法行為と相当因果関係にある損害 の全額の賠償を認めたものと考えられる。 擁壁欠陥の事案では単に擁壁工事の代金額程度では建替が不能な事案が多いと考えられ、同種事案における損害額抑制論を批判する意味での先例的価値があるのではないか。 (2) 瑕疵論 契約内容を特定し、契約内容と異なる施工を瑕疵と認定。 その過程で、「本件ブロックの仕様書に従った施工を行うことは、本件擁壁の安全性を確保するために不可欠であり、本件外構工事の本質的な要素であると 認められ、かつ、(中略)本件ブロックの仕様書に規定された基準に適合させるには、本件擁壁を除去して新たにコンクリート擁壁ないしCP型枠ブロック擁壁 を設置するほかないものと認められるから、上記契約違反の結果は重大であり、被告は建築請負業者として、本件ブロックの仕様書に従った施工を行うことが容 易であったにもかかわらずこれを怠って本件擁壁を施工したものと認められるから上記契約違反について少なくとも過失があるものというべきである。」とし て、安全性の見地からの契約における本質的な要素に反した施工業者の責任を重視した。 責任論 被告の「請負人が不法行為責任を負うのは当該瑕疵を生じさせたことが反社会性ないし反倫理性が強い場合に限定される」との主張は、上記瑕疵論の契約違反の 結果の重大性から問題にせず。 2 主張・立証上の工夫 宅地造成法の規制区域外である点、建物傾斜等の欠陥現象がない点等の問題があったため、主戦場を契約内容の特定に置いた。 本件ブロックの仕様書との不一致については、SS式サウンディング試験を行い底盤部分の不存在を、非破壊検査を行い配筋の不備を、それぞれ立証。 3 所 感 不法行為(建替が必要なほどに契約の本旨から逸脱した施工)と相当因果関係にある損害(建替費用相当額)を認めた点につき、至極あたりまえの判決というべきか。 |
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◎勝訴判決・和解の報告 [1]契約代金の5倍の損害額を認定した事例(京都地裁平成17年2月24日判決) 加藤進一郎(京都・弁護士)
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