勝訴判決・和解の報告 [1]木造三階建て売買契約の解除が認められた事例 (京都地裁平成16年10月4日判決) |
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弁護士 加藤進一郎(京都) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Ⅳ コメント 1 判決分析(意義・射程・問題点等) ① 最も大きな争点は補修可能性であったが、うわものの補修に関しては、耐力壁の増加につき「不格好であり、ガレージの使い勝手も悪くなり、新築の建物で あればこのような壁を設けるとは考え難い補強方法となっている」として、間取りの変更・空間利用の阻害を意識した判断をしている。 基礎の補修に関しては、耐力壁の増加によるうわもの重量の増加分が未検討・ベタ基礎にするためのホールインアンカーによる基礎の一体化の可否が未検 討・ベタ基礎にした場合の基礎の自重による沈下の有無が未検討・地盤改良や杭打ちについての必要性が未検討、といったことを理由に被告提案の補修案を否定 した。 ② 除斥期間の開始時点は建築士による簡易調査報告を受けた時点と判断 ③ 責任論につき、「売主が瑕疵について悪意又は過失がある場合は、債務不履行責任及び不法行為責任との均衡上、相当因果関係の範囲内の損害について、売 主は損害賠償義務があると解するのが相当」と判断し、主意的請求(瑕疵担保)のみで全損害の賠償を認める(不法行為の判断せず)。 ④ 仮執行宣言をつけていない。 2 主張・立証上の工夫 補修が不可能である点(特に基礎)について、相手方補修案に対し、逐一、藤津建築士の反論意見書を提出したことが、判決でもそのまま認められている。 3 所 感 裁判官は藤津建築士の尋問の際には基礎が補修可能であるという視点での補充尋問を行っていたが、その後の裁判所鑑定を経て見解を改めたように思える。 また、瑕疵担保での損害論を限定する発言も行っていたが、他の裁判例を列挙したことにより、弁護士費用や調査費用等も認定した。 当たり前に思えることを手抜きせず繰り返したことが、じわじわとジャブのようにきいた感じか。 しかし、仮執行宣言をつけなかったのにはまいっている。 |
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