勝訴判決・和解の報告 [2]ホルムアルデヒド濃度が水準に到達していない瑕疵を認め勝訴した事例 (東京地方裁判所平成17年12月5日判決) |
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弁護士 中島宏治(大阪) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Ⅳ コメント 1 判決分析(意義・射程・問題点等) マンションの売買においてシックハウスであることを理由に住民側が勝訴したおそらく最初の判決である。特に「瑕疵」概念について、「住宅室内における ホルムアルデヒド濃度を少なくとも厚生省指針値の水準に抑制すべきものとすることが推奨されていた」ことを重視して「品質について当事者が前提としていた 水準(室内空気に含有されたホルムアルデヒド濃度)に到達していない」という「瑕疵」があると認定した点に注目すべきであろう。 ただし、本件ではマンション分譲にあたり環境物質対策基準に適合していることをチラシ等でうたっている事案であり、この事実を契約時の両当事者の合理的意思の内容としているため、そのような宣伝文句のない一般的な建物については射程外ともいえる。 また、債務不履行・不法行為における注意義務を否定した理由や、弁護士費用や慰謝料請求を棄却している点にも注意を要する。 2 主張・立証上の工夫 担当弁護士ではないため不明。 3 所感 シックハウス事案における瑕疵概念について、厚生省指針値(ホルムアルデヒドについて100μg/ m3)を下回るレベルの水準を基準に判断したこと、しかも建築基準法改正(平成15年7月1日)以前の事例であることは、今後のシックハウス訴訟において有益になるであろう。 本件では「竣工直後の室内ホルムアルデヒド濃度は相当程度高かった」「普通に考えれば2倍、3倍、あるいは1けた上があってもおかしくない状況」と いった鑑定結果が重視されている。鑑定で勝負したことが吉と出た事案とも言える。この点をどう評価するか、検討を要すると思われる。 |
◎勝訴判決・和解の報告 [2]ホルムアルデヒド濃度が水準に到達していない瑕疵を認め勝訴した事例(東京地裁平成17年12月5日判決) 中島宏治(大阪・弁護士)
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