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◎勝訴判決・和解の報告    [2]基礎底部のかぶり厚不足などの欠陥がある住宅について、基礎の取り壊し再施工の補修費用等の損害賠償を認めた事例(仙台地方裁判所石巻支部平成17年3月24日判決) 鈴木 覚(仙台・弁護士)

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勝訴判決・和解の報告
[2]基礎底部のかぶり厚不足などの欠陥がある住宅について
基礎の取り壊し再施工の補修費用等の損害賠償を認めた事例
(仙台地方裁判所平成17年3月24日判決)
弁護士 鈴木 覚(仙台)

Ⅰ 事件の表示(通称事件名:擁壁欠陥事件)
判決日 仙台地方裁判所石巻支部H17年3月24日判決
事件番号 平成14年(ワ)第73号 損害賠償請求事件
裁判官 高橋伸幸
代理人 鈴木覚、千葉達朗
Ⅱ 事案の概要
建物概要 所在 宮城県石巻市
構造 木造(在来工法)2階建 規模 敷地約300㎡、延面積124㎡
備考 新築建売住宅、住宅金融公庫融資住宅
入手経緯 契約 平成5年4月15日 契約 引渡 平成5年6月末
代金 土地1320万円、建物1630万円
備考
相談(不具合現象) 平成12年ころ、屋根裏に断熱材が全くないことを発見、その他、台所床下の基礎ブロックの沈 下、建物外部の給湯器土台の沈下等の欠陥現象が発生していたことから、平成13年6月に仙台弁護士階の建築特別相談にて相談。その後、建築士による調査の 結果、基礎底盤の厚さ不足、断熱材が天井裏のみならず外周周りで施工されていない、設計図書上あるべき筋交いがないこと等の瑕疵があることが判明した。そ の後業者と交渉するも何らの対応もないため、平成14年7月に提訴。
Ⅲ 主張と判決の結果(○:認定、×:否定、△:判断せず)
争点
(相手方の反論)
① 本件建物の瑕疵の有無 一部○
② 被告の責任 ○
③ 原告の損害額の算定 一部○
欠陥 (欠陥と認定したもの)
・布基礎底盤部分の厚さ・幅の不足(公庫仕様書・JASSによれば、布基礎底盤部分の厚さ150㎜、幅450㎜が必要であるところ、4か所で底盤厚さが90~105㎜程度しかなく、出幅も380㎜~400㎜程度しかない)
・布基礎底盤部のコンクリートかぶり厚さ不足(上記寸法から、底盤を破潰しなくとも、かぶり厚さの不足を認定)
・捨てコンクリートの不施工(基礎底盤下部に捨てコンクリートが打設されていないことは標準的な技術水準に違反した欠陥であるとした)
・断熱材の不施工(小屋裏と外壁廻りに断熱材の施工がないことは、公庫仕様書の基準に違反した欠陥であるとした)
・床下防湿処理の不施工(公庫仕様書のとおりの防湿処理がなされていないことは、公庫仕様書に違反した欠陥であるとした)

(欠陥と認定されなかったもの)
・筋交いの不施工(設計図書どおりの箇所に筋交いが施工されていないものの、各地点については特段の補強策が講じられており、設計図書の指示通りに筋交い を入れた軸組と同等以上の耐力を有する軸組が配置されているとして、欠陥であるとまで言い切れないとした)
・軒天井のシミ(当初からの施工不良によるものというよりも本件建物建築後の経年変化によるものであると認定し、欠陥であるとは認められないとした)
損害 合計 1542万7050円/2229万2850円 (認容額/請求額)
代金
補修費用 1200万円/1690万円
転居費用 120万円/130万円
仮住賃料 (転居費用に含む)
慰謝料 0万円/100万円
調査鑑定費 51万1000円/51万1000円
弁護士費用 140万円/200万円
その他 シロアリ駆除・床下換気扇設置工事費用 31万6050円/58万1850円
責任主体と法律構成 売主 民法709条に基づく不法行為責任
施工業者 同(本件売主=施工業者)
建築士
その他

Ⅳ コメント
1 判決分析(意義・射程・問題点等)

① 瑕疵の判断基準については、「被告は、本件建物は、平成15年5月26日の三陸南地震及び同年7月26日の宮城県北部地震に遭遇しても、基礎部分にひ び割れや沈下も生じなかったと主張するが、本件建物の欠陥の有無は、建築基準法及び同法施行令等の規定が定める要件を満たしているか、当事者が契約で定め た内容、具体的には、設計図書等に定められた要件を満たしているか、公庫融資対象の建築物では、公庫仕様書が定める基準を満たしているか、建築確認時にお ける我が国の標準的な技術水準を満たしているか、という見地から判断されるべきであり、仮に被告主張のとおり地震による被害が生じなかったとしても、これ により前記技術水準に違反した欠陥がないと判断することはできない」と判示しており、評価できる。

② 本件建物の基礎にはクラックや不同沈下等の具体的な欠陥現象は生じておらず、被告も、上記のとおり平成15年の大きな地震でも不具合を生じなかったこ とを強調したが、裁判所は、そのような被告の主張を排斥して基礎底盤の厚さ・幅の不足及びかぶり厚さ不足、捨てコンクリート不施工の欠陥を認定したもので あり、極めて正当な判示である。
加えて、かかる基礎の欠陥に対する補修方法について、被告から依頼を受けた私的鑑定人の建築士が、耐震補強方法の例を引用して「べた基礎」化する方法 を提示したのに対し、本判決は、原告の主張する補修方法を採用し、「証拠並びに弁論の全趣旨を総合すれば、本件建物を基礎上部から持ち上げて移動させ、作 業空間を確保した後、既存の基礎部分を解体し、地盤を十分締め固めた上、新たに布基礎を再施工するのが相当であり、その基礎の再施工時に、併せて防湿処理 の施工も可能となり、その意味でも前記の方法を採用するのが相当である」、「被告側建築士は、既存の基礎をべた基礎にする方法を提案するが、この方法自体 に十分な実績があるとは認められないし、建物の基礎自体の本来の構造耐力を回復するには、新たに基礎を造り直すのが相当である」と判示した。
本判決における欠陥の認定と補修方法に関する判示内容は、基礎底盤のかぶり厚さ不足等の欠陥がある同種の被害事案において参考になろうかと思われる。

③ 床下防湿処理の不施工の欠陥について、平成13年ころにシロアリが発生したことによるシロアリ駆除費用と床下換気扇設置費用の損害(いわば拡大損害である)を一部について、相当因果関係を認めてもらった点にやや特徴がある。

2 主張・立証上の工夫
① 「消費者のための欠陥住宅判例」をフル活用し、被告の様々な主張に対して、そのような主張を排斥した判例を書証にて提出して反論した。 ② 裁判所の意向があって、裁判上の検証を実施。
検証時には、検証の順番等を記載した実施要領と原告の指示説明内容についての書面を用意し、指示説明の漏れがないように工夫した。

3 所 感
被告から控訴がなされている。
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