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◎勝訴判決・和解の報告    [3]痴呆症患者を相手とする不要・高額な契約の取り消しを認めた事例(札幌地裁平成17年11月27日判決) 石川和弘(札幌・弁護士)

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勝訴判決・和解の報告
[3]痴呆症患者を相手とする不要・高額な契約の取り消しを認めた事例
札幌地方裁判所平成17年11月17日判決(確定)
弁護士 石川和弘(札幌)

Ⅰ 事件の表示(通称事件名:  )
判決日 札幌地方裁判所平成17年11月17日判決(確定)
事件番号 平成16年(ワ)第2374号工事代金請求事件・平成16年(ワ)第2560号損害賠償請求事件
裁判官 橋本修
代理人 なし
Ⅱ 事案の概要
建物概要 所在 札幌市豊平区西岡5条
構造 木造亜鉛メッキ鋼板葺2階建 規模 延面積78.57㎡
備考
入手経緯 契約


代金
備考
相談(不具合現象) 痴呆症である所有者と株式会社ワールド(旧商号株式会社北海道下水保安協会)は3回に渡り所有 者方床下の調湿剤敷布等の工事請負契約を締結した。しかし、この工事は全くもって不要な工事であるとともに、請求額が高額であったことから、契約を取り消 すとともに既払い金の返還を求めたい。
Ⅲ 主張と判決の結果(○:認定、×:否定、△:判断せず)
争点
(相手方の反論)
①工事請負契約の必要性(詐欺行為の有無) ×
②請求代金の相当性 ×
③配水管工事及び床下工事の完成の可否 ×
欠陥
損害 合計 603万4000円/668万4000円  (認容額/請求額)
代金 498万4000円/498万4000円
補修費用
転居費用
仮住賃料
慰謝料 50万円/100万円
調査鑑定費
弁護士費用 55万円/90万円
その他
責任主体と法律構成 売主
施工業者 709条
建築士
その他

Ⅳ コメント
1 判決分析(意義・射程・問題点等)
(1) 3つの契約について、いずれも詐欺であることを正面から認めた。
その理由は、①営業担当者の証言を客観的事実ないし北海道ネット所属中山建築士の証言との食違い、②被害者の事理弁識能力の程度の2つに集約される。
(2) 慰謝料50万円を認めた。

2 主張・立証上の工夫
建築士の調査報告書とビデオ(テレビ局の番組)が証拠の柱である。
施工業者に代理人が付かなかったこともあり、相手に対する反論という作業はほとんどなく、こちらの主張を支える証拠の提出という形になった。

3 所感
(1) 3回目の契約の直後に受任したため、3回目の代金の支払いを留保したところ、施工業者から振込口座が記載された請求書が来た。
そこで、仮差押をした上、本案提起をしたのが本件の特徴の第1である。

(2) 第2の特徴は3回目の契約をした3ヶ月後に、被害者が後見開始の審判を受けたことである。
裁判所は、被害者の事理弁識能力の低下を容易に認定できるケースであった。

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