勝訴判決・和解の報告 [4]杜撰なリフォーム工事に対し債務不履行責任による慰謝料と弁護士費用を認めた事例 (大阪地方裁判所平成17年10月25日判決) |
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弁護士 三浦直樹(大阪) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Ⅳ 鑑定等について 1 裁判所鑑定人等の人選(又は相手方の私的鑑定人の資質)について 申請せず。 2 不利な専門家意見(鑑定書等)を建築技術論的に乗り越えた方法(立証上の工夫等)について 技術的反論なし。 3 不利な専門家意見(鑑定書等)を訴訟技術的に乗り越えた方法(主張や訴訟行為上の工夫等)について 不利な専門家意見なし。 Ⅴ コメント 1 判決分析(意義・射程・問題点等) 建築士事務所登録をしていない無登録の一級建築士によるあまりにも杜撰な増改築工事リフォーム事案である。 判決も、工事の杜撰さを厳しく指摘した上、請負の債務不履行解除は特段の事情のない限り未施工部分に関する一部解除に限るとする最高裁 S56.2.17に照らしてもなお、既履行部分も含む契約全体の解除が認められると判断した上、債務不履行責任として慰謝料と弁護士費用を認めた。 詐欺ないし故意の建造物損壊行為とまでは言えない、として故意の不法行為責任は否定されたが、過失責任に言及されていない点には不満が残る。 2 主張・立証上の工夫 余りの危険さに台風シーズン前には解体補修する必要があったため、提訴時には、解体補修済みで、いわば「現物」が存在しない状態であったが、当初は高 名な建築家による「作品」の制作過程の記念と思って原告が撮り続けていたという多数の写真や、被告の下で作業を担当していた大工自身が被告の杜撰さを指摘 する証言を撮影したビデオなどについて、反訳を兼ねた詳細な報告書を作成した。 3 所 感 裁判官からの補充尋問に対して、被告自身が「危険と言えば危険、安全ではないと言えば安全ではない」と証言するほど、工事の杜撰さについては争いようのない事案であった。 無資格者による無益な工事である「悪質リフォーム」の事案や、有資格者の任務懈怠という過失による「名義貸建築士」の事案等に比べても、より悪質な「建築家詐欺」というべきケースであり、建築士制度のあり方を根本から考え直す必要を感じた。 |
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◎勝訴判決・和解の報告 [4]杜撰なリフォーム工事に対し債務不履行責任による慰謝料と弁護士費用を認めた事例(大阪地裁平成17年10月25日判決) 三浦直樹(大阪・弁護士)
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