勝訴判決・和解の報告 [4]鉄筋コンクリート強度不足、鉄骨溶接不良等を 理由に建物金額相当分で即金和解 (名古屋高等裁判所 平成16年9月28日和解) |
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弁護士 荒川和美(愛知) |
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Ⅳ コメント 1 はじめに 名古屋地裁岡崎支部平成14年2月26日判決(消費者のための欠陥住宅判例[第3集]398頁以下)の控訴審での和解である。 原審では、原告(施主側)が主張した基礎コンクリートの強度不足、鉄骨の溶接不良の瑕疵をいずれも認定し、建替えの必要性が認められ、3373万7751円の損害賠償が認容された。被告業者側が不服として控訴した。 2 和解金額について 建物金額に相当する金額である。建て替えのための取り壊し費用、引っ越し費用など原判決の認容額に満たないが、施工業者側の資力からいって、判決による執 行をしても、それ以上の回収見込みがない状況であった。即金であることから、施主側としても応じることとした。 3 主張・立証上の工夫 和解に至る以前において、裁判所は厳しい対応であり、業者側の修補可能や損耗減価の主張を一定認めるかの発言があり、1500万円という低額の和解案の提示があったが、施主側は拒否した。 その結果、判決を前提として、倒壊の危険があるか、修補が可能かを中心として鑑定がなされることとなった。 鑑定箇所が多く、必要性に争いがあったので、鑑定事項と鑑定箇所の絞り込みのため、現地での事前調査(地盤調査と超音波検査)があり、受命裁判官と鑑定 人が立ち会った。検査の業者が逐一検査状況を裁判官に説明しながら行ったため、欠陥の重大性を裁判官が認識せざるを得なかった。このため裁判官の態度が一 変し、強力に業者側を説得するようになった。 鑑定結果は、倒壊の危険があり、修補不能という結論であった。 4 和解の経緯 裁判所は、業者に対し、資産状況の資料を提出させて、借り入れ等も含め、最大限可能な即金による金額を追求させた。施主側には、建て替え可能なぎりぎりの譲歩を求められた。 和解は難航したが、下請け業者にも負担させる。施主側も親族(長男)が借り入れすることにより、建て替え可能な金額として、上記和解金額となった。 5 まとめ 裁判官は建築の専門知識に乏しく、鑑定結果しかみていないところがあり、その点は1、2審を通じて同じであったが、証拠に基づき建築知識をねばり強く説 明してゆけば、決して理解が得られないわけではない。特に現地での調査や検証は欠陥の実態や建築知識を具体的に裁判官が現地で体感して理解することになる ので、裁判官の心証形成にきわめて有効である。 |
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