福岡西方沖地震と建物被害 |
弁護士 幸田雅弘(福岡) |
1 今年3月20日午前10時、福岡県西方沖を震源とするM7.0の地震が発生、死者1名、負傷者1087名、建物全壊133棟、半壊244棟、一部損壊 8620棟という大きな被害が出た。震源地直近の玄海島だけではなく、福岡市中心部の警固断層東側の堆積層が厚くなっている地域にも建物被害が集中した。 2 被害の中で建物の耐震性能として見逃せないのは、築10年以上のマンションには被害が少なかったのに、築8年以下のマンションの袖壁にタスキがけのせ ん断破壊現象が起きたことである。袖壁は耐震壁ではないが、ベランダや玄関横の袖壁が変形し、室内から退避できなくなった住民がいた。幸い、火災が発生し なかったので大災害は免れたが、地震時での待避路確保の観点からの見直しが必要である。 3 今回の地震では、住宅地の残っているブロック塀の倒壊事故が多く、古い無筋のブロック塀の改修促進が必要であることを示した。旧建設省によって都道府 県に「コンクリートブロック安全対策推進協議会」を設置するように通達が出ているが、有名無実である。その他、今回もやはり立体駐車場の転落事故があり、 立体駐車場の安全対策は進んでいないのではないかと懸念される。 |
◎福岡西方沖地震と建物被害 幸田雅弘(福岡・弁護士)
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