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◎第3回「欠陥住宅110番」の結果について 神崎 哲(京都・弁護士)

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第3回「欠陥住宅110番」の結果について
弁護士 神崎 哲(京都)

1 はじめに
2004年7月2日・3日(一部地域を除く)、昨年・一昨年に続き、欠陥住宅ネット主催の第3回欠陥住宅110番が実施されました。
今回は、シックハウスに関する建築基準法改正後1年が経過した時期であることから、「欠陥住宅・シックハウス110番」とのテーマで行われました。
対象地域は、今回実施できなかった神戸・甲信越・北陸・香川を除く全国39都道府県。今回も多数の弁護士・建築士の方々にご協力頂きました。

2 相談内容の分析と特徴
注)括弧内の数値は、昨年の集計データからの引用

(1)相談件数
一般264件(前回248件)、シックハウス16件(前回18件)、計280件(前回304件)でした。前回と比較すると相談総数は減っていますが、 実施地域が減ったことと、リフォーム(前回38件)が重点テーマから外れたこと等からすると、むしろ、高水準を維持していると見るべきではないでしょう か。
以下では特に断らない限り、一般相談を前提に分析してゆきます。

(2) 相談対象建物
【建物種類】は戸建住宅78%(71%)、分譲マンション12%(20%)で9割を占め、【階数】では2階建が63%(56%)、3階建以上が33%(40%)で大多数を占めました。
【工法】としては、在来木造が56%(46%)、RC造・SRC造が11%(28%)、鉄骨造17%(9%)、ツーバイフォー7%(8%)、プレファブ・パネル工法4%(6%)といったところです。

(3) 契約概要
【契約形態】は、請負契約53%(47%)、新築売買契約35%(46%)、中古購入7%(6%)となっています。古い建物の欠陥については諦めてい るケースが少なからずあるでしょうから、一概には断定できませんが、新築建売購入が減って注文住宅と中古購入が増加している傾向が見受けられます。
気になる【契約相手のハウスメーカー】のメーカー毎の件数ですが、前回は全て5件以下でしたが、今回5件以上の大手メーカーが3社入っていました。但 し、母数が少ないため、統計的に有意的なデータとまで言い切れず、メーカー名の公表は差し控えたいと思います。
【契約書】の存否について、「なし」が6%(20%)と、前回よりも随分と低水準であったことには、少々安堵しました。

(4) 被害の具体的内容
【訴えている不具合】としては、雨漏り61件(31件)、壁の亀裂31件(32件)が相変わらず非常に多く、建具の開閉不良22件(21件)、床・壁 の傾斜21件(28件)、床鳴り18件(15件)、揺れ・振動11件(19件)、結露・カビ11件(14件)、内外装の違約8件(-件)、上下水の不良5 件(17件)と続いています。
不具合は「複数回答可」であるうえ、相談の聞き方や相談票の記載方法の問題もありますので、被害実態そのものを必ずしも正確に反映しているとは即断で きませんが、おおよそ過去2回と同様の分布傾向にあるようです。雨漏りやクラック等は、素人目にも判断がつきやすいことも一因になっているのかも知れませ ん。

(5) 事後フォロー
「電話相談のみ」で終わらせている割合は、一般相談61%(44%)、シックハウス相談38%(44%)となりました。
一般相談については、電話相談による交通整理がかなりの程度できているのに対し、シックハウスについては、慎重な判断が要求されるということの現れで しょうか。実際、一般相談における継続相談は30%で他機関紹介が4%に止まっているのに対し、シックハウス相談では継続相談が25%で他機関紹介も 25%にも及んでいます。やはり、シックハウスなどは専門の調査や診断を経る必要から、「他機関紹介」の必要性が高いのでしょう。

(6) アンケート
Q1「設計・監理は建築士がしなければならないことを知っていますか」については、「はい」45件、「いいえ」56件でした。
Q2「あなたの居住する建物の設計・監理者が誰か知っていますか」については、「はい」51件、「いいえ」41件でした。
全件につき質問したわけではないので、どの程度有意的な数字か不明ですが、いずれにせよ、設計・監理に対する認識が高くないことは確かなようです。

3 総 括
(1) 欠陥住宅ネット主催の110番も3回目となりましたが、傾向に大きな変化は見られず、今の住宅供給市場を反映したものになっているのではないかと思われます。

(2) テーマであったシックハウスの相談はさほど多くありませんでしたが、シックハウス症候群の症状の特性から来る「被害の潜在化」、つまり被害者が被害に気づいていないことを疑わせるものでしょう。

(3) 110番の総括のたびに広報が課題として上げられますが、これは多くの110番活動における課題であり、今後も工夫を要するところでしょう。その意味で は、「臭いものに蓋」で済まされない以上は、「テーマ設定」によるマスコミ対策と、「被害掘り起こし」によって潜在的な被害を浮き彫りにする努力が必要で す。

(4) 第3回は、定着しつつある110番として位置づけることができましょう。実施結果は例年水準ですが、ただ、時期や準備等の関係から実施地域が若干減ったことが気になるところです。
110番活動は、この種の運動にとって、いわばシンボルとしての意味が色濃くあります。運動の原点にある「被害を掘り起こして救済する」という精神を最も端的に体現した活動であり、マスメディア等を通じて広く訴えてゆく機会でもあります。
阪神淡路大震災から10年、ひとつの区切りとして各種の企画が行われていますが、欠陥住宅被害は決して無くなったわけではありません。流行り廃りの一 過性の活動としてでなく、地道な継続的活動として欠陥住宅被害に取り組む姿勢は、110番活動において試されているのかも知れません。
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