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パネルディスカッション(1) ~「徹底討論!欠陥住宅訴訟の到達点」

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パネルディスカッション(1) 「徹底討論!欠陥住宅訴訟の到達点」

【1】 問題提起 神崎 哲弁護士(京都)
【2】 パネラー(4名)の報告
発言要旨(後日改めてまとめていただいたもの)
(1) 神崎 哲 (京都・弁護士)
(2) 松本克美 (京都・立命館大学教授)
(3) 平野憲司 (大阪・建築士)
(4) 河合敏男 (東京・弁護士)
(5) 田中 厚 (大阪・弁護士)   徹底討論
【3】 会場での全体討論



【1】 問題提起 神崎 哲(京都・弁護士)

【2】 パネラー(4名)の報告

(1) 神﨑 哲 (京都・弁護士)

鹿児島大会のメインテーマの1つであった、 このパネルディスカッションは、 欠陥住宅訴訟に取り組んできた我々ネットワークにおける、 一つの理論的到達点を示すものであったと言えよう。
私は 「問題提起」 のレジュメ作成・報告を仰せつかったが、 この作業によって、 欠陥住宅が民法学における解釈上の重大論点のオンパレードであることを実感することができた。 とともに、 松本教授・河合弁護士・田中弁護士・平野建築士、 そして会場にいる参加者の熱いディスカッションでの示唆に富む濃密な議論を、 最も興味深く聞ける恩恵にあずかったと思う。
限られた紙面では議論の再現など不可能であるし、 各パネラーの原稿も出るので、 いくつかの主要論点について、 私が強調しておきたいことだけを述べることにしたい。

1 欠陥論について
ここでは欠陥判断の基準が議論された。
本来、 学問的な水準から言えば、 「欠陥論は克服できたから、 次は損害論へ」 と進むことになりそうな話であるが、 反動的な裁判例や議論が生じてくるのが、 この手のパイオニア型訴訟の怖いところである。
基準法が欠陥判断基準になるかという問題では、 とかく 「契約か、 基準法か」 という論争になるが、 この議論の立て方は本来、 正鵠を射たものとは思われない。 そもそも売買・請負ともに 「欠陥(瑕疵)」 とは契約違反が本質なのである。 問題は契約の解釈であり、 基準法充足が契約で要求されているかである。 「基準法充足」 は、 通常、 明示の合意はおろか意識すらされていないが、 他方、 危険な家に住んでもよいとは誰も思わない筈ゆえ、 「合理的意思解釈」 により、 これを排除する別段の合意なき限り、 契約内容に含まれるものと導かれる(通常の事案では、 厳密には 「意思解釈」 そのものではない)。
基準法の公法的性格が相変わらず反論されることがあるが、 私は、 基準法(単体規定)は、 個人の生命・健康・財産という憲法上の人権の保護を目的とする最低基準ゆえ、 全法領域に亘る 「公序」 を形成していると主張したい。 これにより、 憲法の私人間効力と同様に、 一般規定(民法90条等)を介して契約内容の解釈に取り込める。
基準法に矛盾する仕様を契約していた場合、 「基準法は明示的合意がない場合の二次的基準にすぎず、 基準法を下回る仕様の明示的合意さえ充たせば、 欠陥はない」 と反論されるケースがあるが、 これは 「真意」 の合理的意思解釈の問題であり(基準法違反の危険な仕様と知っていれば、 合意しなかったはず)、 基準法充足の合意が排除されるわけではない。 理論構成としては、 基準法違反の合意部分は、 錯誤無効か民法90条違反無効になるのではないかと考えているが、 如何であろうか。
なお、 今後の展開として、 より高水準の契約や美観上の合意に対する違反を欠陥と主張すべき時期にさしかかっていると言えよう。

2 責任論について
最判平成14年9月24日により、 建替請求のみならず、 解除の道も開かれたと見るべきという松本教授の解説には勇気づけられた (これは松本教授の投稿参照)。

3 損害論について
損害につき交換価値差額説に立つと、 建替必要な建物でも不動産鑑定を行えば一定の交換価値が算出される結果、 損害が低額に抑えられることがある。 しかし、 そもそも不動産鑑定は 「使用可能」 という前提でしか成り立たないはずであり、 どうしても鑑定するなら、 基準法違反で危険な建物である以上、 その価値はゼロ、 むしろ 「使用可能」 な状態に回復するための費用がマイナス価値として算出されなければならない。
居住利益控除論は、 「どこかに住まなくてはならず、 住んでいる分は利得している」 という発想が根本にある。 解除・取消以外の事案では、 居住は所有権に基づく当然の利用であるから問題になることはないが、 解除等した場合、 契約時まで遡及的に(さにあらずとも、 解除の意思表示以降は)所有権が失われるから不当利得という主張が考えられる。 これに対しては、 代金返還までの利息と見合っていると主張することも-法定利率を前提にすれば-可能であろう。 理論構成は、 果実収受と代金利息の関係を定めた民法575条の類推適用、 又は相殺の抗弁になろうか。 しかし、 かかる論理は、 危険な家でも 「住める」 と認めることになり、 本来、 矛盾ではなかろうか。 そもそも危険な家に住むことは、 不利益でこそあれ利益でないはずであり、 むしろ慰謝料請求権が発生すると考えるべきであろう。 この点、 補修事案においては危険だから住めないとして他所に移れば賃料分が損害賠償の対象になることとの対比を指摘されるが、 これを、 解除事案でも応用できないだろうか。
なお、 補修(建替)によって新品になることは、 経年減価分の不当利得になるという論については、 瑕疵なき完全物の履行請求権の見地からは無意味な反論と言えよう(比喩的に言えば、 履行遅滞したうえ腐った物を渡すことなど許されるはずがない)。


(2) 松本克美 (京都・立命館大学教授)

新しい最高裁判決(最判2002・9・24 判例時報1801号77頁)の意義と課題

今回の最高裁判決の意義と課題を押さえておくことは、 今後の欠陥住宅訴訟の理論的課題を明確化する上で極めて重要である。
(1) 建替費用相当額の賠償を認めた意義
本判決の判旨は次のようにまとめられている。 「建築請負の仕事の目的物である建物に重大な瑕疵があるために建て替えざるを得ない場合には、 注文者は、 請負人に対し、 建物の建て替えに要する費用相当額の損害賠償を請求することができる。」 (最高裁ホームページに掲載)。 従来、 請負契約の目的物に重大な瑕疵があったとしても、 仕事の目的物が土地工作物の場合は、 民法が請負契約の解除を否定している (635条但書) ことを理由に、 欠陥住宅の建替費用の請求は解除を認めたに等しいとして、 この請求を制限すべきであるとする下級審判決が幾つか出されてきた。 今回の最高裁判決は、 こうした下級審判決の一部の傾向を明確に否定した点に最大の意義がある。

(2) 判例の射程距離
ア 請負契約の解除の可否
なお、 本判決では、 注文住宅に重大欠陥がある場合の請負契約自体の解除の可否について争点になっていないが、 本判決の論理は解除も認容する余地を示唆するものとしても重要である。 すなわち、 本判決は、 上記損害賠償を認めるに当たり、 この解除制限の規定の趣旨にさかのぼり、 3点を指摘して、 その趣旨が 「建替えるほかはない」 重大な欠陥ある建物の場合にはあてはまらないことを明確にしている。 すなわち、①この規定の趣旨は、 建物に 「何らかの利用価値があっても請負人は土地からその工作物を除去しなければなら」 ないことを考慮している (すなわち、 635条但書は重大な欠陥があって利用価値がない建物には適用すべきでないことを示唆している)、 ② 「そのような建物を建替えてこれに要する費用を請負人に負担させることは, 契約の履行責任に応じた損害賠償責任を負担させるものであって, 請負人にとって過酷であるともいえない」、 ③ 「請負人が建築した建物に重大な瑕疵があって建て替えるほかはない場合に, 当該建物を収去することは社会経済的に大きな損失をもたらすものではなく」 という3点である。 前述の建替費用相当額賠償否定論が、 <欠陥住宅=土地工作物=契約解除不可=建替費用相当額賠償請求不可>という図式を前提としていたのに対して、 今回の最高裁判決は、 その論理構造からすれば<重大な欠陥ある住宅=契約解除不可の趣旨不適合=建替費用相当額賠償請求可>という図式を前提にしており、 従ってこの場合は契約解除可能ということを示唆しているように思われるからである。
イ  「重大な瑕疵」 の解釈 
本判決は、 「請負人が建築した建物に重大な瑕疵があって建て替えるほかはない場合」 を前提にしている。 今後、 建替費用相当額の賠償請求訴訟では、 当該瑕疵が 「建て替えるほかはない」 重大な瑕疵かどうかが今まで以上に争点となろう。

(3) 残された課題
また原審 (東京高判2002・1・23) では、 建替費用相当額の賠償請求を認容することとセットで、 居住利益を控除し (5年居住していた利益を600万円と算定し、 賠償額から控除)、 また慰謝料請求を否定した (1審・横浜地裁小田原支判2001・8・9は100万円認容)。 居住利益控除論、 慰謝料論は、 今後の欠陥住宅訴訟における損害論の最大の課題となろう。 (最後の点については、 松本克美 「欠陥住宅被害における損害論」 立命館法学280号1頁以下 (2002) を参照されたい。 立命館大学ホームページに全文掲載 (http://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/law/lex/01-6/matsumot.pdf)。 なお建替費用相当額の賠償請求は、 「契約の履行責任に応じた損害賠償責任を負担させるもの」 とする本判決の判示は、 瑕疵ある物の給付の場合には追完 (契約の完全履行) が原則であるとする契約法の国際的動向にも共鳴するものとして興味深い (契約法の国際的動向を知るには名古屋大学の加賀山教授のホームページが有益である。 http://www.nomolog.nagoya-u.ac.jp/~kagayama/)。


(3) 平野憲司 (大阪・建築士)

欠陥住宅訴訟の到達点-建築士の視点から

欠陥住宅は住宅建設のプロセスから考察すると、 以下の原因が相互に関連して生み出されてきた。
1、 確認の虚偽申請及び設計図書の不備
2、.名義貸し建築士の工事監理放棄
3、 検査体制の弱体
4、 法令違反住宅への融資

しかし、 欠陥住宅被害全国連絡協議会 (欠陥住宅全国ネット) 設立後、 各地域ネットの弁護士と建築士の協同による訴訟及び活動により、 欠陥住宅の上記発生原因を取り除く数多くの成果をあげてきた。
最大の成果は、 銀行ローンの融資条件が確認済証から検査済証になってきたため、 確認の虚偽申請が少なくなり、 検査済証の交付率が向上した点であろう。
また、 建築基準法の改正により中間検査制度が導入され、 検査体制が強化されたことも検査済証の交付率を向上させている。

さらに、 名義貸し建築士に対する日弁連の行政処分の申し立ても職能上の警告として建築士に強いインパクトを与えた。 欠陥住宅全国ネットが設立される以前は欠陥住宅問題に携わる建築士は少なかったが (むしろ避けていたが)、 今日では欠陥住宅110番、 相談会、 調査・鑑定、 証人尋問等に積極的に参画する建築士が増えていることも大きな成果である。 そして建築士の参画によって建築士の専門技術が訴訟に生かされ、 すぐれた判決を勝ち取る成果をあげてきた。

しかし、 以下の事項が今後の課題として残されている。
1. 工事請負契約書、 設計図書、 見積書   の不備
2. 民間検査機関の不備
① 特定工程検査時期及び検査内容
② 違反処理
3. 民間融資条件の制度化
4. 建築基準法の緩和
5. 品確法の実効性
6. 訪問営業によるリフォーム被害

(4) 河合敏男 (東京・弁護士)

1 欠陥住宅訴訟は, 専門性という壁があり, また法律家側のノウハウも不十分であったことから, 敗訴判決や敗訴的和解が数多く積み重ねられてきました。 しかし, 欠陥住宅紛争に真摯に取り組む我々の先輩の弁護士や建築士の努力によって少しづつノウハウが蓄積され, 裁判においても多くの実績が作られるようになり, 今日においては, 過去には考えられなかった取壊建替費用を認める判決例が珍しくないところまで前進してきました。

2 しかし, 最近は, 施工業者の側においても, 業界紙などで情報交換を行い, 業者側の弁護士と建築士が連携して理論武装をして応戦してきており, 業者側の巻き返しの状況が見受けられるようになりました。 裁判官は, 欠陥住宅紛争については, 取壊建替請求については臆病なほど慎重であるのに対し, 補修しかもできるだけ安い費用での補修による解決には安易に乗りたがる傾向があり, 油断できない状況にあるということができます。
また, 最近の欠陥住宅は, 故意の手抜きだけでなく, 基本的技術の低下や無知・無学による欠陥が増えてきているように感じられます。 これらの欠陥は, 造られる建物の欠陥が重大であることが多く, そのわりに基本的に施工者当人の罪の意識がないという特徴があり, 故意の手抜きよりもたちの悪い欠陥かもしれません。 故意の手抜きという業者の悪質性が立証できない場合, 裁判所の業者に対する厳しい姿勢が減殺される傾向になるのではないかと危惧しています。

3 澤田和也弁護士が主張されるように, 新築住宅の欠陥被害に対する回復は, つぎはぎだらけの回復ではなく, あくまで新築性の回復でなければなりません。 部分補修によっては新築性の回復が不可能な場合は, 費用がかかっても思い切って取壊建替を前提とする回復措置を認めることが当然である, との認識が必要です。

4 公庫仕様
欠陥の判断基準について公庫仕様を標準とすべきであるいうことは, 我々がずっと主張してきたことです。 しかし, 実務ではこれを採用する裁判所と採用しない裁判所とがありました。 これを採用すべきとする有力な根拠として, 「建築物の構造耐力上の安全確保に係る措置について」 と題する建設省住宅局建築指導課長の通達があります (平成7年5月31日住指発第176号)。 同通達は, 筋かい及び構造耐力上主要な部分である継手又は仕口の緊結については, 住宅金融公庫の木造工事共通仕様書を参考として金物を適切に使用し, 緊結すること, とされています。 なお, 平成12年の建築基準法施行令の改正に伴って, 詳細な建設省告示が出されましたが, その内容は概ね公庫仕様を取り入れたものとなっています。 これについては, 建築知識2001年1月号にわかりやすい解説が掲載されています。

5 裁判所に取壊建替を認めさせる一つの根拠として, 建築行政上の制約を理由として取壊建替以外に相当補修方法はないことを主張することが効果的です。 構造欠陥のある建物の多くは, 確認申請と異なる建物を建築しており, 行政上の完了検査を受けておらず検査済証の交付を受けていない建物が多いのです。 この場合, 仮に補修が可能であっても, 構造上の変更を伴う補修となり, 建築基準法6条の 「大規模修繕」 に該当するケースがほとんどでありますので, そのための確認申請が必要となります。 ところが, 確認行政上, 大規模修繕申請を受ける前提として, 既存建物について検査済証の交付を受けていない既存建物についてはまず検査済証を取得せよ, しかる後大規模修繕の申請をせよということになるはずです。 しかし, 違法建築物であって検査済証を受ける術がないとすれば, 大規模修繕の申請もできないということになります。 即ち, もし業者が補修によって対処できると抗弁しても, その抗弁を認めることは, 裁判所が違法な (無届けの) 大規模修繕を是認することになるとの反論が可能となるわけです。

(5) 田中厚 (大阪・弁護士)

私は、 阪神大震災後、 全国ネットや関西ネットに参加したことから、 欠陥住宅訴訟に弁護士として本格的に取り組むようになりました。
その体験を通じて、 以下の3つを感想として述べたいと思います。

第1に、 判例自体がかなり動いてきている、 ということです。
例えば、 建築士が施工監理者として建築確認申請書で届け出ておきながら全く施工管理を行わなかったことにより、 建築確認を受けた設計とは全く違った欠陥住宅が建築された場合の、 いわゆる 「名義貸し建築士」 の不法行為責任については、 地裁レベルでは、 これを肯定する判例と否定する判例に分かれていました。 私の担当した事件では、 1審判決 (大阪地判:平12・9・27:判タ1053・137) では、 不法行為が成立するためには、 当該行為により生命・身体・健康・所有権等の法益が侵害されたことが必要であって、 単に、 契約に従って目的物の給付を受ける権利が侵害されたというのみでは、 原則として不法行為が成立する余地はなく、 詐欺的な行為等により不当に勧誘して契約を締結させたというような場合にのみ不法行為が成立しうるに過ぎないと判示して、 不法行為責任を否定しました。 私は控訴し、 地裁レベルでの勝訴判例 (大阪地判:平10・7・29:金判1052・40、 大阪地判:平12・6・30:ジュリ1192・216) や、 補修費相当額等の全損害の1割だけ認めた大阪高裁判決 (大阪高判:平12・8・30:判タ1047・221)、 更には、 肯定説に立つ松本克美教授の論文 (立命館法学271、 272号) を証拠として提出し、 大阪高裁で補修費相当額等全損害の賠償を命じる逆転勝訴判決 (大阪高判:平13・11・7:判タ1104・216) を得ることができました。 この事件を通じて、 購入者を救済する判例は、 我々が作っていくものであることを改めて感じました。

第2点は、 これは問題点として感じていることですが、 最近の裁判官が、 しばしば 「欠陥住宅訴訟は専門的なので判断できない」、 と述べて、 当事者双方の私的鑑定を吟味すれば判断が可能であるにも関わらず、 裁判所の鑑定をやりたがることです。 その背景には、 裁判官が独自の判断を放棄して、 裁判所の選任する鑑定人の判断にそのまま依存しようとする、 危うい傾向が垣間見えます。 これでは、 裁判所の鑑定人に適切な建築士が選任されなかったり、 鑑定結果が客観的に誤りであった場合に、 裁判所の誤判を招くことになりかねません。 また、 そもそも、 このような訴訟の進め方は、 当事者が主張・立証を尽くして、 裁判官は公平な第3者としてその当否を判断するという民事訴訟のルールからしても問題があると考えます。 私はこのような裁判官に対して、 従来、 裁判所は、 公害、 欠陥商品、 医療過誤など欠陥住宅訴訟よりはるかに専門的で難しい事件であっても、 当事者の主張・立証に耳を傾け、 理解しようと努めて判断を下してきたのであり、 欠陥住宅訴訟においてそれができないというのは、 裁判官の職責放棄である、 と批判して闘っています。

第3点は、 欠陥住宅訴訟に被害者がかけなければならないコストの問題です。
欠陥住宅の被害者は、 人生最大の買い物をした直後のため、 蓄えがほとんどなくなっているばかりか、 巨額のローンを背負っているのが通常です。 このような状況下で、 私的鑑定で建築士に支払う費用、 弁護士に支払う着手金、 訴訟印紙代等の訴訟費用を捻出するのは容易なことではありません。 このような費用問題がネックになって、 泣き寝入りも多いと思われます。 これは、 司法制度全体にも関わる問題ですので解決策を見いだすのはなかなか困難ですが、 とりあえず、 私は、 収入の少ない依頼者について、 コストをかけずにどれだけできるかやってみようと考え、 法律扶助を申請してみました。 従来は、 不動産を所有しているような依頼者は、 貧困者を対象とする法律扶助は認められないと思っていましたが、 所得証明などを提出して収入が少ないことが証明できたため、 法律扶助は認められました。 しかし、 売買契約を解除して6000万円以上も請求する事件であるにもかかわらず、 法律扶助協会から私に支給された着手金はわずか23万1000円でした (本来の報酬規定では約250万円)。 訴訟印紙代については、 本来なら26万円以上かかるのですが、 裁判所に訴訟救助の申し立てをして、 印紙を貼らずに訴訟を進めてもらうことになりました。 弁護士としては、 着手金が事件に比して非常に少ないので、 このような事件ばかりではやっていけませんが、 この事件については試験的に頑張っています。
このコストの問題は、 今後の救済において大きな足かせになると思われるので、 なんとか解決すべき課題であると痛感しています。
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