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パネルディスカッション 「シックハウス問題の本格的解決をめざして」 (2) 被害者からの報告 Aさん(大阪)

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パネルディスカッション
「シックハウス問題の本格的解決をめざして」

(2)
被害者からの報告
(当日は大阪と札幌から被害者報告がありましたが,以下は大阪の方の報告です。)

Aさん(大阪の被害者)

私たち夫婦の購入した分譲マンションが 「シックハウスだ」 と判ったのは、 入居後およそ一年半を過ぎた頃でした。 同じマンションの住人から 「シックハウスの疑いがある」 と知らされたのです。
当初は 「分譲会社の販売員が 『化学物質対策も万全』 と言っていた」 「引越前に十日程、 吹き晒しの換気と掃除をした」 を根拠に、 自分たちは関係ないと思っていました。
引っ越してから主人も私も、 ずっと体調不良が続いていましたが、 それも 「引越疲れ」 「新しい環境に馴染めないせい」 と思い込み、 住まいに原因があるとは思いも寄りませんでした。
しかし、 分譲会社の対応の悪さを知らされた時に、 会社への猜疑心が湧き上がりました。 そこで建築士・木津田さんへ相談した結果、 夫婦共にシックハウス症候群の可能性が非常に高いと指摘を受けたのです。
事情通の専門家から具体的な話を聞いたことで、 私たちはこれまでの体調不良を顧みました。 主人の場合、 風邪が治らない、 ろれつが回らない、 簡単な計算が出来ない。 頭部に突発的激痛が生じて救急車で運んだこともありました。 私の場合、 倦怠感・無気力・集中力低下のような精神的苦痛を感じる事が多くなり、 情緒不安定から二重人格にも似た状態になることが度々でした。
それらが全てシックハウスの症状に当てはまると知った時、 ある意味で大変、 救われた気持ちになりました。 「私たちの調子が悪いのは病気のせい」 と冷静に判断出来るようになったからです。 そして、 原因を改めて考えた時に憤りが湧き上がりました。 私たちの生活がおかしくなったのは、 新居に引っ越してからなのです。
住民全体からも要望が上がったため、 分譲会社が全戸を対象に空気測定を行いました。 結果、 築後一年半が経過しているのに、 最高で基準値の4倍、 平均でも2倍近くのホルムアルデヒドが測定されました。
結果を受けた管理組合は、 今後について討議しました。 しかし分譲会社が全く対応する気配を見せないため、 住民は 「交渉諦め組」 と 「費用負担してでも交渉継続組」 に分かれてしまいました。 これは、 単純に二つへ分かれた訳ではありません。 諦め組の中には、 様々な事情があって断念した家庭が多数あります。
「ローン返済が出費の限界」 「勝算不明なのに時間やお金を使えない」 「無症状だから交渉は無理と思う」 「家主 (オーナー) にヤル気が無い」 「交渉に家族が反対」 等々。 これらの家庭では現在も、 不安の塊を抱えたまま生活をしていると聞きました。
交渉継続組でも不安があるのは同様で、 特に 「費用」 と 「自覚症状・診断書の有無」 を懸念しています。
現在、 キチンと診断書を出してくれるのは、 東京の北里研究所病院だけです。 初診受付は平日の朝八時半で、 地方に住む者は受診準備に費用と時間を投じることになります。 簡単に受診出来るものではありません。
交渉進めるために、 やっと受診してみれば、 殆どの人が 「シックハウス症候群」 と診断されています。 このまま住み続ければ、 症状は悪化する一方でしょう。 分譲なので簡単に引っ越すことも出来ません。
根本的な原因を払拭するには、 リフォームが最善策です。 しかしその費用は、 私たちが出さなければならないのでしょうか。 東京での受診費用捻出にも躊躇する、 そんな被害者が負担すべきなのでしょうか。
相手の非を裏付ける準備に、 自分や家族の健康管理に、 被害者が乗り越えなければならないハードルが余りにも多すぎて高すぎると感じています。
「病気になる家」 のローン返済に阻まれて、 交渉が、 受診が、 リフォームが出来ない。 それを 「やる気がない」 「本気で考えていない」 とは言えません。 泣き寝入りを選ぶしかない状況にあることが、 おかしいのではないか。 そう感じています。
交渉継続組が成功した場合、 諦め組の人たちが改めて 「追従したい」 と考えるのは自然な成り行きでしょう。 その時 「瑕疵担保期間中に分譲会社へ問題提起をしていない」 「診断書が無い」 ために交渉が出来ないならば、 余りにも救いがありません。
同じマンションの住民として、 後に続く人たちが辿りやすい交渉をしたいと、 私たちは考えています。 そして出来れば、 他マンションでも同様な問題が生じた時、 参考になる活動をしたいとも考えています。 そのためには、 専門的な立場にいらっしゃる諸先生方の協力が、 どうしても必要になります。
状況によっては、 前例の無い結論を新しく生み出すことになるでしょう。 それには、 積極的に問題へ取り組んで下さる専門家の介添えが、 どうしても必要になります。
被害者が泣き寝入りするしかない状況を打破するためにも、 どうかお力添え下さい。 どうぞお願い致します。

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