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パネルディスカッション「建築基準法はザル法か─建築基準法違反の設計・施工を許容する土壌を問う─」    パネルディスカッションの概要 吉岡和弘(宮城・弁護士)

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弁護士 吉岡 和弘(宮城)

1 建築基準法はなぜ守られないのだろうか。 建築基準法令に違反する欠陥個所を指摘された業者は、 必ずといっていいほど 「確かに建築基準法令に違反してはいるが同法令は3倍の余力を前提にして計算されているからこの程度の違反があっても安全性に問題はない」 などと主張する。 また、 学者や裁判官の中には、 「被害者側から提出される私的鑑定書の中には、 建築基準法令に定める数値を1センチほど足りないから欠陥だなどと指摘してくる建築士がいるが困ったものだ。 業者と注文主とがよく話し合いをさせると自ずと誤解は氷解する。 そうであるのに1センチ程度の違いをとやかくいうのはいかがなものか」 などという発言を平然と行う者も多い。 どうして、 このような法令無視の発言が堂々とまかり通るのか、 そして、 こうした主張に対して、 私たち被害者側に立つ建築士や弁護士らは、 どのような反撃をすればいいのか。 こうした視点で 「建築基準法はザル法か」 という、 幾分、 刺激的なタイトルをつけたシンポジウムが始まった。

2 まず、 京都地裁判決平成13年8月20日判決の事件に携わった田辺保雄弁護士 (京都) からの問題提起がなされた。 建物の瑕疵を認めながら建物に関する損害は認めなかった判決に対し、控訴審でどのような主張・立証が必要かについて詳細な準備書面案に基づく問題提起がなされた。 建築基準法の制定と改正の経緯、 技術的基準の概要の指摘など、 力のこもった貴重な指摘がなされており、 当日配布された資料は必見の価値がある。

3 次に、私から、 千葉地裁平成13年3月22日判決の問題点を指摘させていただいた。 構造体力上安全でない建物と認定しながら瑕疵担保責任に基づく損害賠償は信頼利益であるとし、 信頼利益とは建物の代金と客観的取引価格との差額であり、 取引価格の立証は困難だから民訴法248条に基づき 「建物の効用が半分以上減殺されると考えられる」 などとして500万円の損害を認めた事例である (詳細は24~25ページ)。

4 更に、福本和正教授 (滋賀県立大学) から、 「建築基準法の単体規定の由来と解説―主として建築構造の立場から─」 と題する講演をいただいた。 先生からは、 1981年の新耐震設計や1995年の耐震改修促進法の指摘などがなされ、 壁量の重要性や偏心率についての考え方等が解説された。

5 その後、私の司会で、 藤島茂夫建築士 (東京)、 山本建築士 (京都)、 福本助教授 (滋賀大) がパネラーとなり、 パネルディスカッションが行われた (発言要旨は5~7ページ)。 パネラー発言に呼応して会場からも活発な意見が飛びかったが、 以下の論点に要約されるかと思われる。 即ち、
(1) 建築士の問題
・調停委員の建築士が欠陥住宅裁判をダメにしているのではないか。
・専門家が科学としての検証をするとの視点がない。
・名義貸しが横行している。 工事監理を厳しく行うという意識改革が必要。
(2) 裁判所の問題
・ 「現実の損害」 という考え方を打破する必要がある。 被害者は住みたくない家に住まざるを得ないという点をどのように裁判官に認識させればいいのか。 「現実の損害」 とは何か、 研究すべきだ。 建替えるしかない家を買わされたことが現実の損害だというべき。
・後藤判事説を打ち破る理論構築が必要だ。
・余りに非常識な裁判が多すぎる。 「非常識判決集」 などを社会に公表したり、 裁判官の通信簿を創ってみるなどの工夫が必 要ではないか。
・裁判官は弁護士任官であるべき。 被害の深刻さを理解しようとしない。
・4~5年も裁判で闘っているが、 裁判では当事者が一言も発言できない (最後の証言でいえばいいといわれる) 点を改めて欲しい。
・裁判官が基準法をザル法にしているのではないか。
・裁判所から依頼されて鑑定人となった。 その際、 裁判官は私の言い分を丸呑みし て判決を書いた。 ところが、 私がこれと 同じ内容の私的鑑定書を書いた事案で裁判官は見向きもしなかった。 裁判官は内 容ではなく、 建築士がどんな立場で発言 しているかで判断をしているということ だ。  
(3) 建築基準法の問題
・木造住宅は一次設計で足るとか、 検査は書面審査で足るなどいう姿勢自体に問題がある。
・建築の基本法だという性格が薄れている。違反に対する罰則もない。 基準法違反が犯罪的なことであることのアピールが必要。 基準法は 「絶対倒壊させない」 という法律だ。
・住宅建築は請負だから民法を優先させる意識が強い。
・中間検査の充実をはかる必要がある。
(4) 業者の問題
・住宅の大工は大工ではないと思っている。 初めて欠陥住宅の報道見たときは 「ふざけるな」 と思った。 大工が労働者になって、 技術が伝わらなくなった (教えななっ た)。 作り手の教育が大切なのではないか。
・悪質業者名の公表が必要ではないか。

6 こうした指摘がなされる中、時間切れと なったため、 今後、引き続き、幹事会で議 論を深め、 建築基準法令を遵守させるた めの具体的取組を提案することになった。  以上、 報告とします。
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