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勝つための鑑定書づくり

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アイテック株式会社

一級建築士 池田忠安基

 

「 調査会社からみた鑑定のあり方 」

 

建築等の調査は幅広く、多くの手法があります。これらの調査においては、私どもは以下の5つに大分しております。

・ 目視・計測・打診調査

一般に現況調査とも呼ばれています。

・ 非破壊調査

構造物を壊さず現状のまま、調査機械を用い調査を行う手法です。

・ 破壊調査

実際に構造物の一部を破壊・ハツリ等により、調査目的物を採取や露わににし調査する手法です。

・ 物性調査

建物や構造物に使用されている建材類の性能確認を行う調査です。

・ 環境試験

騒音・振動調査、シックハウス調査、土壌汚染試験、水質試験等の調査です。

これらの調査手法を選択し、実際に調査を行います。

 

調査の進行について

・ 事前打合せ

被害者・弁護士より、今までの経緯・いきさつ、問題点の内容、現在の状況等について充分に時間をかけ、細かい点まで聞き落とさず聞き取ります。

・ 調査の計画

先に聞き取りした内容と設計図書等の資料を基に、充分に検討を行った上、目的に合った調査手法を選定します。この工程が調査において最も重要であり、調査の出来栄え(相手方に対し、インパクトの強い鑑定書を作るため)に大きく影響します。

・ 現地調査実施

現地の調査に際しては、基本的には調査計画に基づき実施します。調査は基本的には複数人で行いますので、全調査員に調査の目的・調査計画を把握させることが大切となります。

また、調査時において、調査目的以外の問題点が確認された場合には、すぐに被害者の方や弁護士に相談し、調査目的の追加の承認をもらい調査を進めます。

調査に際しては、調査報告書・鑑定書をイメージしながら行うことが重要です。

・ 調査報告書・鑑定書の作成

現地調査における結果・資料を取りまとめます。

これらにおいてはいかに、見やすく・判りやすく・順序だてて、まとめるかがポイントとなります。相手方よりの反論がないように調査の信憑性を高めることも心掛けます。(JIS等)

 

非破壊調査を欠陥住宅の調査・鑑定に導入することに際しての注意点

非破壊調査は建物を傷めず、種々のデーターを得られる便利な手法であります。

機器の原理や、仕様方法を理解しておけば、簡単かつ、精度の高い手法であります。

しかし、内容や解析法は専門的すぎ、建築士さんにおいても一般的に理解できない内容が多いと思います。

当然、相手方や鑑定人、裁判官にも理解はできず、本来ある高い実証性が大きく下がってしまいます。このことにより、私共も今まで、相手方の反論や質問に苦労してきました。

・ 非破壊調査を用いる場合の調査手法

基本は非破壊調査により、従来通りに行います。調査対象の大半は非破壊調査にて行い、その代表的な調査対象については破壊調査を行い、非破壊調査の結果と破壊調査の結果を照合し、微細なズレを非破壊検査機械にて校正調整します。

この校正調整を行うことにより、非破壊調査の精度も上がり、調査全体の実証性も高まります。

実際に破壊調査が調査対象付近で行えない場合においては、同一建物内であれば、破壊可能部にて非破壊機器の校正だけを行うだけでも有効となります。

このように、調査の信憑性・実証性を高めることについては、調査手法の組み合わせが重要であります。調査手法を1つの問題点に対し、複数の答えを出し、その答えがイコールとなった際の調査・鑑定書については、説得力が強く、現に、このような調査法を選択してからは、相手方よりは、調査結果・事象に対する反論はなくなりました。(反論は現状をそらすようなものばかりです。)

しかしながら、現状は調査内容・調査量が増大し、調査に掛かるコストも増大してしまうという問題点や、建物を傷めるという問題点も残ってしまいますが、調査・鑑定書はインパクトがあり、調査会社として自信をもって送り出せる鑑定書が作成できました。

最後に、

欠陥住宅の調査・鑑定を多く経験させて頂き感じたことは、微妙な調査測定誤差も許されない、極めてシビアな調査であります。この欠陥住宅の調査にて私共も相当、勉強させて頂いたと考えております。これからも技術力・調査力の向上を計り、被害者救済のお役に立てるよう、努力いたします。

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