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勝つための鑑定書づくり 勝つための鑑定とは・・・ 山本正造(京都・建築士)

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山本 正造(京都・建築士)

長年、 裁判所鑑定、 私的鑑定に携わり、 専門家として裁判に関わり考えてきた事を述べてみたい。
専門家としては、 事実、 証拠に基づき、 客観的に原因を究明し、 素人たる裁判官に判断の基準となる鑑定書を作成提出するものであるから、 勝って当然 (裁判所鑑定なら認容されて当然) となる訳であるが、 現実にはそう甘くない。 そこで勝つための私的鑑定はどうあるべきか、 検討を加える。
欠陥建築を発生させる主要な要因は人であり、 施工する人が無知であったり、 監理者が不在であったり、 様々な人に関わる問題点が交差して欠陥現象が浮かび上がってくる。
鑑定も同様に人の問題が存在するのは確かである。 勝つための鑑定人選びから始めなければならない。 弁護士さんサイドからは建築士は建築に関して全て熟知しているとおもわれるであろうが、 その出発点が間違っているのである。 高度に発達した現代技術社会において建築の専門家というのは大きく分化しており、 その専門分野についてのみ信頼性を有していると判断するのが妥当であろう。
大きく分けて建築の専門家として、 意匠・構造・設備・積算の事務所系専門家がおり、 他方現場系として施工技術者としての専門家がいる。 そして、 鑑定をする人の殆どが上記どれかの専門家であるにも拘わらず、 一級建築士であるというところに、 弁護士も裁判官も錯覚に陥り、 敗訴したり、 間違った判決が下されたりしているケースが少なからずある。
京都ネットではそれぞれの専門家を擁しており、 年間 200件の調査依頼がある案件の全てに専門的適性、 地域性を考慮して迅速に建築士サイドの専門家を選任しており、 ミスマッチが殆どなく、 調査した専門家が引き続いて鑑定書を書くことができるように事務局でフォローしている。
木造3階建の事案が京都では多く、 事象として、 揺れ、 雨漏り、 傾き、 亀裂がある。
雨漏り、 亀裂も根本的には主体構造や基礎に問題を有しているケースも多いので、 意匠専門家に調査してもらっている場合も、 最終的には鑑定の段階では構造の専門家との協働ということになる。
当該事件にフイットする鑑定人 (専門家) を選定できたら 100点満点で約70点である。 残り30点は裁判官対策と弁護士との協働が重要となる。 九州大会では、 個々の鑑定例を挙げて説明したが、 当紙面では割愛し、 裁判官対策、 弁護士協働について述べる。

《裁判官対策10箇条》
1、 裁判官は建築の素人。
わかりやすくするために論点を絞り込み、 深く説明する。
2、 裁判官は建築基準法1条を知らない。
基準法は生命・健康・財産を守るための最低基準であるいう視点から、 欠陥は生命・身体に関わる重大なもの (単体規定違反) に絞り、 欠陥の重大性を強調する。
3、 裁判官は論理的構成を好む。
依拠する規範と、 それに照らして欠陥であるということを明確に示す。 欠陥に対する怒りは最後に所見で述べるにとどめる。
4、 裁判官は数字に弱い。
小学生に教えるように数学的根拠を説明する。
5、 裁判官は権威に弱い。
法律はもとより、 各種学会基準・学会報告書などの権威あるものを示す。
6、 裁判官は鑑定書を読まない。
喩え話やビジュアルな説明、 Q&A方式でわかりやすく。  証人尋問でわかりやすく説明する。
7、 裁判官はせっかちである。
結論を先に明確に示す。 結論の字体は大きく目立つように。
8、 裁判官は騙されやすい。
反対意見に対しては、 徹底的に反論する。
文章は、 法律家受けする重厚な表現で。
資料は豊富に、 鑑定書は分厚く (本文は短く)。
9、 裁判官は忙しすぎる。
建築法令などは必ず添付しておく。
10. 裁判官は頭でっかちである。
現場検証で欠陥を体験させること (例、 家を揺すって揺れを大きく実感させる。)

《弁護士との協働》
1、 鑑定依頼事項については、 弁護士と建築士の共同作業で作ること。
2、 弁護士に現場をみせて説明し、 欠陥を実感させること。
3、 弁護士に理解できないことは裁判所にも説明できないし、 理解してもらえない。 まず、 弁護士に十分に理解してもらうよう努めること。
4、 尋問準備は綿密に、 事前準備で方針を明確に。
当然のことから丁寧に説明しつつ、 メリハリあるウェイト配分を。
尋問事項も弁護士と建築士の共同作業で作る。
5、 骨格を定めたら終始一貫して危険な欠陥であることを主張する。
第3コーナーで方針を変更するな。
6、 枝葉末節の主張をするな、 しても幹の補完と考えよ。
そして、 最後に一言。 鑑定人の証人尋問は無いと思うな、 恐がるな! 法廷は鑑定人にとって晴れ舞台と考えよう。 リハーサルは十分に、 余裕をもって楽しもう。 敵を知り、 己を知らば百戦百勝!

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