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勝訴判決の報告   (7) 建物所有者の妻に慰謝料を認めた事例(盛岡地裁一関支部平成14年5月10日判決) 吉岡和弘(宮城・弁護士)

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吉岡和弘(宮城・弁護士)

盛岡地裁一関支部平成 14年5月 10日判決 (判例集未搭載)

1 木造2階建の注文住宅 (1817万円) に、 基礎のかぶり厚不足、 基礎と土台との緊結不足等の欠陥があるとして注文主が地元大工 (元町会副議長) に補修費等を、 妻は慰謝料をそれぞれ求めて訴提起 (それ以前に議会に辞職を求める陳情)。 相手方は同陳情が不法行為に該当するとして500万円の反訴を提起された事案。 途中で代理人を吉岡に変更。 裁判所は補修費用1770万円、 他の住居賃借料200万円、 引越し費用16万円、 鑑定費用52万円、 注文者に慰謝料100万円 (請求額500万円)、 妻に50万円 (請求額500万円) 弁護士費用250万円、 合計2400万円余を認めたほか、 反訴請求に対しては、 請願権は基本的人権であり、 陳情書や議会での発言内容も概ね事実に添うもので違法性はないとして棄却した。

2 本判決の特徴
(1) 相手方からの鑑定申請に対し、当方はJIAに鑑定依頼されるよう希望し、 裁判所もこれに応じた。 司法支援会議による鑑定人推薦ではなかった。 当方の私的鑑定の補修費1386万円より、 裁判上の鑑定の方が高額になり、 裁判所は裁判上の鑑定による補修費1770万円を認容した。
(2) 判決は、原告側が提出した争点整理表を利用した簡便なものだった。 今後、 争点整理表を使った判決が主流になる気配がある。
(3) 本人のみならず、 妻の慰謝料が認められた点も意義深い。 本件建物の建築から被害を受けた後の交渉等の一切を担当していたことが評価されたものと思われる。
(4) 弁護士費用も他と比較し若干高額に認容されている。
以上
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