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勝訴判決の紹介と獲得のポイント   (6) 虫害被害で除去費用賠償の調停事例(彦根簡裁平成14年9月2日調停成立) 神崎哲 (京都・弁護士)

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弁護士 神﨑 哲(京都)

1. 相談の概要
滋賀県犬上郡甲良町の純和風木造建物で、 新築直後から虫害が発生した事案。 台所の鴨居等が食い荒らされたほか、 建具等を中心にマチバリでつついたような穴があちこちに生じた。 依頼者(施主)が調べてゆく中で、 もともと建材(木舞竹)に虫がついていたと確信するに至り、 京都ネットに相談に至る。

2. 相談への対応
京都ネットでは、 菊川建築士・遠藤弁護士と、 大の虫嫌いの私がなぜか担当とすることになった(一種のイジメでは?と疑われる)。
動物被害例は、 白アリを除けば、 非常にレアケースであり、 事案の個別事情の差が大きく、 類似例が見当たらない。 コウモリ被害例(神戸地判H11.7.30。 判例第1集№9)、 イエヒメアリ被害例(神戸地判H11.4.23。 判例第1集№21)はあるものの、 いずれも生活への支障という実害が比較的理解し易いのに対し、 本件建物の場合、 現場を見た第一印象としては、 実は、 「どこに穴があるの?」 というくらいで拍子抜けだった。 しかし、 コップ一杯の大量の虫や、 食い荒らされた木舞竹を見せられた時には、 軽視できない被害だと感じた。
まず、 虫の特定と発生原因、 将来予想される被害程度、 駆除方法等を調べるところからスタートである。 専門駆除業者の日本シロアリ対策協会や滋賀県ペストコントロール協会、 京大木質科学研究所の吉村教授等に問い合わせし、 虫や竹を持ち込んで相談して回った。 また、 薬品会社や調査機関にも照会・調査依頼をする。
その結果、 虫はチビタケナガシンクイ、 ヒラタキクイムシともう1種であることが判明し(実は、 最後までこの1種は特定できなかった)、 発生原因も木舞竹であろうことはほぼ間違いないが、 この種の虫の生態等は研究があまり進んでいないようで、 「建築完成後に外部から飛来した可能性が絶無とは断定できない」 として鑑定意見書作成はなかなか引き受けてもらえない状態であった。
そこで、 調停手続からスタートして、 相手方の反応や手持証拠等を見極めようという方針になった。

3. 調停手続とその結果
当方が請求したのは、 ①補修費用(薫蒸作業費及び建物修補費用)285万円、 ②仮住まい賃料19万円、 ③慰謝料200万円、 ④調査費用50万円、 ⑤弁護士費用50万円の合計605万円。
これに対し、 相手方施工業者は 「引渡後に搬入した家具(衝立)から虫が発生した」 として発生原因を争っていたが、 ご本人が衝立を調停の席に持ってきて被害のないことを示したり、 引渡まもなくの時点で食い荒らされた(土壁内部の)木舞竹を切り取っていたものを示すなどして、 相手方に迫ったところ、 相手方も否定しきれなくなったのか、 虫の除去(薫蒸作業)費用+αについて賠償を認めるに至り、 最終的に250万円で調停が成立した。

4. 所感
調停委員の当たりが悪く、 請負業者の法的責任の意義すら理解していない委員が 「請負は 『請け負け』 と書くぐらい責任が重く、 過剰な請求でも応じなければならない」 云々と言う始末。 それならば、 施工業者を説得してくれればいいのに、 まるで施主側が不当請求しているかのような言い草を依頼者本人の目の前でするので、 本人も我々も憤慨した。 相手方よりも、 調停委員の説得に苦労したという印象の事件だった。

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