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勝訴判決・和解の報告[7]床下リフォーム工事につき消費者契約法違反で提訴し和解 武井共夫(神奈川・弁護士)

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床下リフォーム工事につき消費者契約法違反で提訴し和解
横浜地裁平成15年6月23日和解
弁護士 武井共夫(神奈川)
被害者は、58歳のやや明晰でない独身女性であり、82歳の老人性記憶障害の母と二人暮らしで、母は過去に何度か本件と同じ系統と 思われる名前の床下工事業者の被害にあっている。業者は、横浜市内に本店のある床下工事業者で、同じ系統と思われる名前の同業者が何社かある。
13年7月初め頃、業者から消費者宅に電話があり、床下工事の勧誘を受けたが、消費者は断ったが、同月4日、消費者宅を業者の4人の男性社員が突然訪 れ、消費者は不在で、82歳の消費者の実母しかいなかったにもかかわらず、強引に上がり込み、床下に潜り込むなどして床下工事が必要だと申し向けた。その 後、消費者は、帰宅して業者社員に対し、頼んでいないのでお断りしますと言ったが、業者社員は、消費者に対し、執拗に湿気が多いのでもっとよい薬を散布す る必要がある、風呂場下にかびが生えやすいので防止が必要である、床下の柱が5~6本くっついていないので建築基準法違反である、換気口の鉄柵が腐ってい るのでステンレスに付け替えた方がいいなどと述べ立て、工事をやらないと駄目だと強調したので、消費者は押し切られてつい、お願いしますと言ってしまった が、その時点では工事代金額も告げられておらず、工事終了後に初めて金額を知らされた。金額が高額だったこともあり、消費者としては納得が行かなかったも のの、工事をしてしまったからと断り切れず、工事契約書に署名押印させられた上、業者社員の車で銀行に連れて行かれ、預金を下ろして現金で80万0100 円を支払わされた。
後日消費者が専門家(以前に床下リフォーム工事をしてもらった大工さん)に床下を見分してもらったところ、業者社員が言うような工事の必要性は認められず、また支払った工事代金に相当するような工事がされた形跡はなかった。

9月28日付で、代理人弁護士が、工事が必要ないのに必要であると事実と異なることを告げられて消費者がその旨誤信して契約した(4条1項1号違反、不 実告知)、一度は断ったにもかかわらず、業者社員から強く迫られて契約した(4条3項1号違反、不退去)、上記各消費者契約法違反を理由に取り消す旨の意 思表示をし、支払済の80万0100円の返還を求める旨の内容証明郵便を出し、その後、14年2月27日に提訴した。
被告側の主張は、要するに契約してそのとおりの工事をしたのだから金額が高くても問題はないというに尽き、原告側は、提訴前に見てもらった大工さんの意 見書の他JIA神奈川の建築士の意見書を提出。リフォーム会社から、同種代金の見積等を取り寄せて提出した。また、予備的に、不法行為に基づく損害賠償請 求を追加した。

15年6月23日、被害額80万1000円と弁護士費用15万円を請求していたが、被告が全額の支払い義務を認め、うち60万円を和解期日に受領し、その余の請求を放棄するという内容で、和解成立した。
中心的な論点が、必要もないのに必要だと虚偽の事実を告知して契約させたので消費者契約法に基づき取り消すという点にあったところ、必要性が重要事項に 当たるかどうかについては、否定する内閣府の見解もあるので、当たるとする正しい判決をとろうとの意気込みで臨んだが、相手の会社の経営が悪化してとれな い可能性があること、万一にも悪い判決を出されると悪しき先例になってしまうこと、訴額が小さいので裁判官が和解を強く望んだことなどから、和解に応じ た。
代理人としては、一応全額認めさせて大義を通し、現実的に和解成立のその場で60万円を支払わせたので、一応評価している。

(欠陥住宅全国ネット機関紙「ふぉあ・すまいる」第11号〔2004年4月28日発行〕より)
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