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勝訴判決報告   (2)アリで解除判決 神戸地方裁判所平成11年4月23日判決 (控訴)

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嶋原 誠逸(大阪・弁護士/二級建築士)
※なお、 分かりやすくするため、 なるべく日常用語を使い、 また、 原文を一部補ったり、 言い換えたりしています。 あらかじめご了承ください。

☆   ☆   ☆ 
第1 事案の概要
Aさん夫妻は、 平成8年6月3日、 Bさん夫妻から、 神戸市内にある7階建てマンションの一室を金約3600万円で購入しました。 かなり広め (135㎡) の中古マンションを、 リフォーム予定で購入したというものです。
計画どおり、 Aさんは、 約金1400万円を投じて、 いま流行りのマンションリフォームを行い、 全面的に室内を改装して、 約3カ月の平成8年9月に入居しました。
ところが、 入居して1カ月くらいすると、 イエヒメアリが出てくるようになり、 それも月日が経つにつれて徐々にその数が多くなってきて、 何度も薬をまきましたが、 駆除できません。 それどころか、 ついには、 マンション内の台所、 風呂場、 居間などあらゆる場所に出没するようになり、 食器棚、 冷蔵庫、 OA機器の内部にまで入り込んで、 食料品、 衣類、 家具などにたかるあり様で、 さらにはAさん夫妻を刺したりして、 安眠もままならなくなりました。
そこで、 Aさん夫妻は、 やむなく平成10年1月29日、 Bさん夫妻に対し、 マンションの購入契約を白紙解除すると、 通知しました。
☆   ☆   ☆ 
第2 争点
【結論】 BさんはAさんに対して金4680万円を支払え。
1 アリは、 マンション購入以前から生息していたものか?
2 アリが生息していると、 マンション購入目的が達成できないのか?
3 購入契約書には、 売主の責任を制限する条項があり、 白紙解除はできない
のではないか?
4 リフォーム費用まで売主に請求できるのか?
☆   ☆   ☆ 

1 争点1 - アリは、 マンション購入以前から生息していたものか?=YES=
相当以前からアリが生息していたこと、 イエヒメアリが通常のアリとは違って、 アリ類のなかではもっとも重要な家屋害虫であること、 雑食性であり繁殖力が旺盛であることなどが指摘されています。

2 争点2 - マンション購入目的が達成できないのか?    =YES=
アリを駆除することは極めて困難であり、 現在、 アリのため、 著しく日常生活に支障があり、 マンション購入目的である快適な居住を達成することが不可能な状態である、 と認定されています。

3 争点3 - 売主の責任を制限するのか?            =NO=
「損害賠償請求は引き渡し後2ヶ月に限る」
「瑕疵が共有部分に起因する場合は、 売主は責任を負わない」
という売主の責任を制限する条項があるが、 期間の制限は 「買主が瑕疵を発見してから2ヶ月内」 という限度でしか有効としない。本件は2カ月で解除している。
アリは、 マンション内にも生息していたと思われ、 また、 アリの巣が共有部分にあっても、 それが室内に入ってくるから、 やはりマンションの瑕疵と言って良い、 として、 結局、 売主の責任を認めました。

4 争点4 - リフォーム費用まで売主に請求できるのか? =部分YES= 
裁判所が損害と認めたものは次のものです。
購入代金3600万円
衣類のクリーニング費用金90万円のうち金50万円
リフォーム費用約金1400万円のうち金700万円
その他に、 仲介手数料、 不動産取得税、 登記費用、 購入契約書の印紙代、 転入・転出の引越費用、 アリの検査費用、 家財道具の消毒費用の合計約金330万円も損害としています。
リフォーム費用のうち半額だけを損害とした理由は 「弁論の全趣旨により相当の金額」 という曖昧なものですが、 反面、 売主の立場ではかなりの負担と言えるものです。
☆   ☆   ☆ 

第4 評釈者の感想
判決文を読んだ感想としては、 Aさん夫妻を救済してあげようとの考えがストレートに伝わってくる内容でした。
伝統的には、 マンションに限らず、 中古品の購入契約を白紙解除するためには、 「購入契約の目的を達成できないこと」 とのハードルがあり、 これが建築の場合ですと 「補修が容易でなく、 費用が高いこと」 と読み替えられることから、 実際には、 判決まで行き着くと、 なかなか解除が認められていないのが実情です (反面、 和解で相手方が任意に解除に応じることは多くあります)。
また、 中古品には、 売主の責任を制限する、 「売った後のことは一切知りませんよ。」 との条項があるのが普通であり、 そのため責任追及が困難となっているのですが、 本判決では、 これを制限的に解釈しており、 妥当な内容であると思われます。

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