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勝訴判決報告   (2) 小柄なおばあちゃんの特殊事情に配慮して欠陥を認めた判決(京都地裁平成13年10月30日判決) 木内哲郎(京都・弁護士)

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木内 哲郎(京都・弁護士)

この判決は、 新聞に 「小柄なおばあちゃんに高過ぎる」 「窓のかぎ ふろ場の鏡 玄関ののぞき穴」 「新築住宅の欠陥 「修復費支払いメーカーに命令」 と報道され、 注目を浴びたものです。

1、 当事者
原告は昭和6年生まれの高齢者で、 単身生活をおくっていました。 身長が137・5■と 小柄でした。 被告は積水ハウス株式会社という著名なハウスメーカーです。

2、 契約
原告は被告に軽量鉄骨造瓦葺平家建居宅 (床面積72・02■) の建築を代金2100万円で 注文し、 請負契約を締結しました。  

3、 請求
裁判では、 瑕疵修補に代わる損害賠償等を請求しました。 瑕疵の内容は、 性能違 反、  合意内容違反、 取付位置が高すぎるの3点に整理でき、 問題箇所は全部で33カ所あり ました。 請求額は約762万円。

4、 認容額
裁判所は、 被告に466万2300円+遅延損害金の支払いを命じました。

5、 争点
被告の反論は、 原告の身長に対し、 多少配慮不足、 説明不足があったかもしれないが、  プレハブ住宅は、 規格の範囲内で変更可能なものを変更することしかできず、 原告の 身長に合わせたきめ細かい設計、 施工は出来ないというものでした。

6、 裁判所の認定
「プレハブメーカーは、 顧客の個別の要望に応えるには限界があることは社会的な常識で、 豊富な社会経験がある原告がその認識を持っていなかったとは考えがたい。 しかし、 他面、 激しい競争をしているプレハブメーカーが多くのバリエーションを用 意して顧客の個別の要望に少しでも応えるための努力をしいることも、 また社会的常識に属し、 原告もその認識を持っていた。 被告店長は小柄で高齢で快適に居住出来る居宅を建築してもらえるか気にかけていた原告に対し、 被告のプレハブ住宅のセールスをし、 『大抵の要望には応じることが出来る』 と説明し、 設計担当者は原告から 『設備等を原告の身長に適合した高さに取り付ける』 旨の依頼を受け、 これを了承したのであるから、 被告において設備の設置等について、 可能な限り原告の身長や年齢に配慮した設計、 施工をすることが本件請負契約の一内容になっていたというべき」 として、 窓が高く手がかぎに届かない、 ふろ場の鏡の位置が高く顔の上半分しか映らない、 玄関扉ののぞき穴が高すぎて使用出来ない、 台所上部の換気扇スイッチが高くて押せない等の瑕疵を認定したものです。

このように依頼者の特別な事情に配慮して欠陥を認めた事例は珍しく画期的と言える と思います。

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