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垂れ流し基礎の欠陥を認めて逆転勝訴(東京高裁平成12年3月15日判決)

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河合 敏男(東京・弁護士)

平成12年3月15日、 東京高裁は一審の浦和地裁川越支部の判決を取り消して、 被害者Yさんの瑕疵主張と損害のほぼ全部を認める逆転判決を下しました。 以下、 その経過をご報告いたします。

事案は、 請負代金2150万円の木造二階建て建物に関するもので、 軸組みの緊結不良など数多くの木造部分の手抜き工事の他、 基礎部分について仮枠無しのいわゆる 「たれ流し基礎」 の欠陥のある建物でした。 Yさんは施工業者に対して、 総額2063万円の損害賠償を求めたところ、 第一審は木造部分の瑕疵として相当補修費用約900万円の損害金を認めましたが、 たれ流し基礎の欠陥については認めませんでした。 その理由は、 「現況基礎は亀裂や不同沈下等の状況がなく、 基礎として安定しているから」 というもので、 一審の鑑定人の鑑定書をそのまま引用した内容となっていました。

Yさんは基礎部分の欠陥を認めなかった点を不服として、 争点を基礎の欠陥1本に絞って控訴しました。 控訴審では、 一審鑑定人の再度の証人尋問を行ない、 その後約1年間和解手続が行なわれました。 第一審は、 上記のとおり900万円の損害賠償を認めましたが、 逆にYさんが約1300万円の請負代金残金の支払いを留保していたため、 判決内容としてはYさんに約400万円支払えとの内容だったため、 業者側は和解の席でも終始強気でした。 Yさんがかなりの譲歩を申し出たにもかかわらず、 結局業者側の譲歩はほとんど得られず、 結局判決ということになりました。 そして、 控訴審は、 基礎の欠陥性を認め、 その補修費用相当損害金 (建物をジャッキアップして基礎全部をやり直す費用相当額) として1020万円の損害金を追加して認める判決を下したわけです。

この判決の意義は、 「基礎の破断や亀裂等及び支持地盤の不同沈下の状況は認められず」 としながら、 「地震等に対する耐力が低下していること、 可能性としては、 鉄筋を覆うコンクリートの厚さ (かぶり) 不足から、 雨水等がコンクリートから浸透して鉄筋が錆び易いことになり、 鉄筋に錆びが生じると、 その影響を受けてコンクリートに爆裂が生じ、 不同沈下の原因にもなりかねないこと」 として仮枠無しの基礎それ自体の欠陥性を認めていることです。 この判決は、 これまで欠陥現象が現れていないと欠陥判断に消極的だった裁判例が多かったのに対して、 欠陥現象がなくても欠陥を認定したことと、 高等裁判所の逆転判決ということで、 存在価値が高いものと自負しています。 判決全文は 「消費者のための欠陥住宅判例」 (民事法研究会) の11番にも載っておりますのご参照ください。
なお、 業者側は、 この判決に不服として最高裁に上告しており、 現在その判決待ちのところです。 上告棄却となれば、 最高裁判決として実務に与える影響は大きいものと考えられます。 その結果はまたご報告いたします。  

本原稿の校正直前の平成12年9月7日に、 最高裁第一小法廷で 「本件上告を棄却する。」 との決定が下されました。 つまり 「垂れ流し基礎は欠陥である」 との判決が確定したことになります。 取り急ぎご報告いたします。

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