吉岡 和弘(宮城・弁護士) |
最近、 弁護士報酬の敗訴者負担制度を導入しようという動きが強まっている。 100万円を貸したのに返してくれない相手方が敗訴した以上、 弁護士費用をもらうのは当たり前じゃないの、 と一見思える制度だが、 スモン事件や狂牛病など国や行政を被告にする裁判、 欠陥住宅を造り出した業者らを被告にする裁判、 医療過誤や交通事故の被害者が加害者を被告にして裁判で闘おうとする裁判では、 「もしも裁判で負けたら国や業者の代理人の弁護士費用はあなたが負担せよ」 などと言われた場合、 果たして裁判を提起することが出来るだろうか、 という視点でこの問題を見てみると、 敗訴者負担制度は、 証拠が偏在する事件や、 弱者が強者に立ち向かう事件など弱者の裁判を受ける権利が根源から否定される制度だということに気づかされる。 秋田県の第三セクターの欠陥住宅被害者原告団長の糸賀さんは、 「もしもこんな制度があったら私たちは裁判はできませんでした。 そして、 一人約1000万円の和解金を勝ち取ることもなかったでしょう。 思っただけでもゾッとします。」 と述懐する。 県と2つの銀行、 12人の取締役、 3人の監査役を被告にしたこの訴訟の相手方弁護士の報酬はとてつもなく高額になる。 糸賀さんは 「裁判制度とは私達のような貧乏人が苦しい闘いの中から生きる望みを切り開いていくことに助力するものであってほしい」 と訴える。 そのとおりだと思う (吉岡 和弘)。 |
幹事長の独り言(4) 吉岡和弘(宮城・弁護士)
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