構造計算書偽装事件の教訓に基づき、建築物の安全性についての最低基準である建築基準法令の遵守を実現するために、建物安全性に関する最低基準の遵守を実現するために建築確認・検査を厳格化すること等を内容とする建築基準法等の一部改正(以下「18年改正」という。)が行われた。
18年改正については、業界団体等から、「18年改正の結果、建築確認手続が大幅に遅延し、建築着工が激減している。」との批判が出された。
そこで、国土交通省は、本年3月、有識者は実務者等から構成する「建築基準法の見直しに関する検討会」(座長深尾精一首都大学東京都市環境学部環境学科教授)を設置し、確認審査の迅速化、申図書の簡素化、不正行為に対する厳罰化の観点から、18年改正についての見直しの検討を行っている。
しかしながら、18年改正は、「複数の特定行政庁、指定確認検査機関において偽装が見逃された」、「今回の偽装の一部は、迅速な審査で偽装を見破ることは困難である」、「建築士が設計を行うことで審査省略される木造住宅において構造耐力上の違法行為があった」という立法事実に基づくものであり、そのような立法事実には、現時点で、何ら変更はない。18年改正後においても、深刻な欠陥住宅被害が後を絶たない状況が続いている。したがって、18年改正の基本は、しっかりと維持されなければならないというべきである。
たしかに、無意味なこと、不必要なことを行って、確認審査手続が遅延することは許されないが、業界団体等が要望する18年改正の見直しによって、建物安全性に関する最低基準の遵守を実現するために建築確認・検査を厳格化するという18年改正の本旨が後退することには断じてあってはならない。
当ネットは、建築基準法の見直しに関する検討会に対し、界団体の利益・都合ではなく、安全で快適な住宅の取得を希望する国民の願いを最優先した議論を行うことを強く求める。
2010年5月30日
欠陥住宅被害全国連絡協議会 第28回京都大会 参加者一同