弁護士 谷合 周三(東京) |
2001年11月24、 25日、 横浜で、 約170名の方々にご参加いただいて、 第12回全国大会が開催されました。 また、 あわせて念願の欠陥住宅関東ネットの設立も実現されました。 大会の開催、 関東ネット設立とも、 多くの方々の、 欠陥住宅被害の救済と予防を目指す熱意に支えられて、 実現できたものと思っています。 僭越ながら、 横浜大会の内容と、 関東ネット設立後の活動等について、 以下のとおりご報告させていただきます。 横浜大会では、 法的欠陥判断にあたって、 建築基準法令が基準となることについて、 ようやく定着しつつあることを確認しました。 しかし、 損害評価にあたっては、 具体的な被害が現実化していない等を理由に、 相当補修費用を損害と認めず、 慰謝料のみを損害として認め、 損害額の認定を極端に低額にした京都地裁2001年8月20日判決等の紹介がありました。 このような損害認定では、 建築業者に対して、 欠陥住宅を建築した責任を厳格に追及することは不可能となり、 結局、 欠陥住宅被害の救済は不可能となってしまいます。 住宅供給者に対して、 欠陥住宅を供給することは絶対に許されないということを認識してもらうためにも、 かかる損害評価は誤りであることを明らかにしていかなければなりません。 そのため、 大会では、 建築基準法の趣旨目的に立ち返って、 単体規定の由来について、 学者の方から解説していただいたほか、 パネルディスカッションで、 建築基準法単体規定の遵守の必要性、 法的基準としての機能、 損害論を議論することができました。 また、 韓国住宅事情について、 韓国消費者連盟鄭光謨会長からのご報告もあり、 たいへんに参考になりました。 なお、 韓国では、 その後、 日本における全国ネットのような被害救済組織の立ち上げが進んでいると聞いています。 さらに、 欠陥住宅訴訟をめぐる最近の動向として、 最高裁と日本建築学会の協力体制や、 東京地裁、 大阪地裁での建築紛争事件についての集中部創設 (2001年4月から) 等が報告され、 欠陥住宅被害救済を実現するにあたって、 今がまさに正念場となってきていることを実感できる大会となりました。 また、 具体的な事件対応の報告として、 宮崎で調停手続きの活用例の報告や、 勝訴判決の報告等もあり、 元気が出ました。 さて、 横浜大会初日には、 2001年6月から設立準備を進めていた欠陥住宅関東ネットが、 90名を超える方々の参加を得て、 設立されました。 建築士の方々の多数の参加と、 消費者の方々の積極的な参加が特徴的だと思います。 とはいえ、 関東ネットは、 やっと具体的な被害相談に対応できる体制を整えつつある段階に過ぎず、 まだまだ試行錯誤の感は否めませんが、 代表に田中峯子弁護士、 副代表に伊藤學建築士、 河合敏男弁護士と、 関東地域における最高の欠陥住宅被害救済専門家による役員体制を確立でき、 さらに、 運営委員として、 東京、 神奈川、 埼玉の建築士、 弁護士、 消費者から幅広く参加をいただき、 総力結集ができつつあると自負しています。 思えば、 関東地域では、 ここ数年、 ネット設立の必要性が強く叫ばれつつも、 ネットの結成は困難を極めていただけに、 ともかく、 関東地域を守備範囲とするネットワーク組織が確立できて、 ほっとしています。 設立後は、 マスコミ等からの取材も多数あり、 中には、 アメリカ公共放送からの取材もあって、 国際的注目を集めつつあります!? 現状は、 活動実績が追いつかないという状態かもしれません。 関東ネット誕生までには、 関東地域はもちろん、 全国各地の、 欠陥住宅被害の救済と予防という目的を達成しなければならないと考える多くの方々のご協力がありました。 多くの方々の協力に応え、 希望を実現するため、 関東ネットは、 欠陥住宅被害根絶に向けて、 日々活動を継続していかなければなりません。 設立後、 現在までの問合せ件数は 70件を超え、 具体的な相談受付件数も 40件近くとなっています。 1月31日には、 第1回研修会を開催し、 学者の方から建築基準法令の解説を矢吹茂郎氏に行っていただいたほか、 欠陥調査報告書の作成ノウハウについてのディスカッションを行い、 実践的な活動を開始しています。 また、 3月 13 日には関東ネット会報創刊号も発行でき、 今後も、 研修会、 地域研究会、 消費者勉強会等を重ねて、 欠陥住宅被害の救済と予防という設立目的を実現すべく、 日々の活動を続けていきたいと考えています。 なお、 横浜大会の準備進行や、 関東ネットの設立にあたって、 不手際等があったかと思いますが、 すべて、 準備等を担当させていただいた関東ネット事務局長の私の不手際です。 この場を借りて、 お詫びさせていただきます。 これに懲りず、 今後とも、 ぜひ、 よろしくお願いいたします。 |
横浜大会の報告と総括 谷合周三 (東京・弁護士)
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