欠陥住宅被害全国連絡協議会は、 1999年5月29日、 30日、 広島において、 第7回全国大会を開催した。
今回の大会では、 ①建物の安全性の実現に向けての堺市役所の真摯な取組の紹介、 ②住宅の品質確保法案の内容と問題点の報告、 ③手抜き業者に建物の解体・撤去を命じた被害者勝訴の判決報告、 ④裁判に勝つための調査報告書作成のノウハウの紹介等々が行われた。
いずれも欠陥住宅被害根絶のために有意義な内容のものであり、 それらに関して熱心で充実した討論が行われた。
なかでも、 参加者に対し、 大きな感銘を与えたのは、 建物の安全性の実現に向けての堺市役所の真摯な取組の紹介であった。
堺市役所では、 3階建て戸建住宅についての建築現場での中間検査を実施し、 基準法に違反した施工についての工事の中止を命じたり、 安全性に問題のある建物のについて弁護士を交えての無料相談会の実施するなどして、 建物の安全性の実現に向けて大きな成果をあげている。
堺市役所の取組みを可能にしたものは、 欠陥住宅被害を根絶したいという担当者の熱意にほかならず、 現行建築基準法のもとでも、 行政担当者の熱意如何によって、 建物の安全性実現のために、 相当程度のことが成し得ることが明かとなった。
現行建築基準法では、 4号建物について、 監理者が適切に監理した旨の書面を提出することにより実地の中間検査を省略することができるとしており、 中間検査制 度が有効適切に機能するかについて危惧されるところである。
私たちは、 建築基準行政を担当する各地方自治体が、 建築基準法があくまでも最低基準を定めたものであること、 建築基準法の限界を理解し、 堺市役所の取組み参 考にして、 真に実効的な中間検査制度の実施等建物の安全性実現のための充実した 取り組みを早急に開始することを求める。
1999年5月30日
欠陥住宅被害全国連絡協議会第7回広島大会参加者一同
「建築物検査制度の充実を求める広島大会アピール」 についての解説
弁護士 齋藤 拓生
本年5月29日、 30日、 広島において、 第7回全国大会において、 建築物検査制度の充実を求めるアピールが採択されました。
参加者一同で、 堺市役所の真摯な取組に感銘を受け、 今後とも、 欠陥住宅被害根絶のために活動する意思を改めて確認しました。