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欠陥住宅被害全国連絡協議会 第16回長野大会アピール

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欠陥住宅被害全国連絡協議会 第16回長野大会アピール
欠陥住宅の撲滅と社会の発展のために、
今こそ建築士は専門技術を活かそう

1.欠陥住宅は、阪神淡路大震災を契機に社会問題となっていますが、元をたどれば、欠陥住宅を生み出した大きな要因は戦後の持家政策にあります。特に、高 度経済成長期に住宅は商品としての高価格性、高付加価値性、関連産業の裾野の広さ等が注目され、住宅産業が登場し、やがて宅地・都市開発などを担うディベ ロッパー業の整備、住宅金融に関わる銀行資本の参入などがなされ、これらが一体となって、巨大な住宅市場が形成され、住宅の商品化、すなわち持家社会が形 成されました。
住宅の商品化は欠陥住宅を生み出す要因を内在しています。

2.多くの建築士は、高度経済成長期以後、巨大な住宅市場に組み込まれ、住宅の供給に大きな役割を果たしてきました。
しかし、残念ながら今日の欠陥住宅を生み出す要因の一つに建築士の関与があります。虚偽の確認申請書を作成する建築士、工事監理を放棄する“名義貸 し”建築士、現場管理が甘い施工業者の建築士。また、近隣の日照、プライバシーを侵害して居住環境を悪化させるマンションの計画・設計に関与する建築士も 然りです。

3.今日、建築士の関与による欠陥住宅に対して各地で訴訟が起き、厳しい判決が出されています。
最高裁は2002年9月24日、「建築請負の仕事の目的物である建物に重大な瑕疵があるために建て替えざるを得ない場合には、注文者は、請負人に対し、建物の建て替えに要する費用相当額を請求することができる」という判断を示しました。
また、最高裁は2003年11月14日、“名義貸し”の建築士に対し、「損害賠償を請求できる」とする判断を示しました。
さらに国立市では、景観を破壊するマンション建設に対し、居住環境の環境権を認めて、一部取り壊しの判決も出されました。

4.建築士はこれらの判決を直視するとともに、前向きにとらえることが大事です。
注文者は請負人に対し、重大な瑕疵がある建物の建て替えに要する費用相当額を請求することができるという判決は、建築士の技術的工場と職能倫理を求め ています。また、“名義貸し”の判決は、建築士法を社会的に実行あるものにすべきことを求めています。さらに、マンションの一部取り壊しの判決は、これか らの建築が環境づくりを無視して存在し得なくなることを示しており、建築士は地域貢献のスタンスを視野に入れることを求めています。
これらの判決は、建築士が本来求めている住まいづくりの社会的規範を示すものであり、建築士の社会環境が整備される展望を示しています。

5.当会の設立後、欠陥住宅被害の相談、調査・鑑定、証人尋問等に積極的に参画する建築士が増え、建築士の専門技術が訴訟に活かされ、優れた判決を勝ち取る成果を上げてきました。
しかし、一方で欠陥住宅訴訟で加害者側に立つ建築士も増えています。そのため、法廷で建築士同士が高度な専門技術で争うことも多く、裁判が長期化したり欠陥住宅の被害者が敗訴するケースもみられます。

6.欠陥住宅の撲滅と社会の発展のため、今こそ建築士は専門技術を活かすべきではないでしょうか。すべての各建築士及び建築関係諸団体が、以下の立場で建築の専門技術を活用されるよう、要望するとともに、私たちもいっそうの努力をすることを宣言します。
1)国民のための安全・快適な住宅建設を目指すこと。
2)欠陥住宅問題を消費者運動の発展とつながりの中で正しく捉えること。
3)消費者、弁護士、建築士等の交流を図り、相互理解を深めて欠陥住宅の諸問題の解決に努めること。

2003年11月29日
欠陥住宅被害全国連絡協議会 第16回長野大会 参加者一同

(欠陥住宅全国ネット機関紙「ふぉあ・すまいる」第11号〔2004年4月28日発行〕より)
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