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第2回欠陥住宅110番の結果について 神﨑 哲 (京都・弁護士)

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第2回 「欠陥住宅110番」 の結果について
神﨑 哲(京都・弁護士)

1 はじめに
2003年3月28日・29日(一部地域を除く)、 昨年に続き、 欠陥住宅ネット主催としては2回目の欠陥住宅110番が実施されました。
今回は、 市民へのアピールを考慮して、 「欠陥住宅・シックハウス・リフォーム110番」 と重点テーマを明確に打ち出しました。
対象地域は、 中国・四国ネット設立に伴って昨年より5県増え、 全国41都道府県(非対象地域は新潟・富山・石川・福井・山梨・沖縄の6県←信長の野望もあと僅か!)。 弁護士79名と建築士82名の計163名の方々に、 延べ75時間半に亘って相談にご協力頂きました。

2 相談内容の分析と特徴
注) 括弧内の数値は、 昨年の集計データからの引用。 また北海道は5月24日実施でデータなし。
(1) 相談件数
一般248件、 シックハウス18件、 リフォーム38件、 計304件でした。 前回の275件に比べて相談数が増えましたが、 前面に打ち出したシックハウスやリフォームの相談が予想外に少数にとどまりました。
以下では特に断らない限り、 一般相談を前提に分析してゆきます。

(2) 相談対象建物
【建物種類】は戸建住宅71% (74%)、 分譲マンション20% (17%) で9割を占め、 【階数】では2階建が56% (54%)、 3階建以上が40% (24%) で大多数を占めました。
【工法】としては、 在来木造が46% (44%)、 RC造・SRC造が28% (20%)、 鉄骨造9%、 ツーバイフォー8% (9%)、 プレファブ・パネル工法6% (5%) といったところです。
なお、 【性能評価住宅】に関する相談が6件(10件)あり、 意外に多いように思いました。

(3) 契約概要
【契約形態】は、 請負契約47% (44%)、 新築売買契約46% (33%)、 中古購入6% (4%) となっています。 これは、 昔の建物に欠陥が少ないというのでなく、 恐らく、 契約条項の関係もあり、 「中古ゆえ悪い所があっても仕方がない」 等と諦めているのではないかということが疑われます。
気になる【契約相手のハウスメーカー】のメーカー毎の件数ですが、 全て5件以下ゆえ、 統計的価値が乏しく、 有意的なデータとは言えないでしょう。
【契約書】の存否について、 「なし」 が20%にも昇ったことは驚きでした。

(4) 被害の具体的内容
【訴えている不具合】としては、 壁の亀裂32件 (44件)、 雨漏り31件 (43件) が相変わらず非常に多く、 床・壁の傾斜28件 (40件)、 建具の開閉不良21件 (45件)、 揺れ・振動19件 (15件)、 上下水の不良17件 (15件)、 床鳴り15件 (17件)、 結露・カビ14件 (20件)と続いています。
「複数回答可」 としており、 相談票の記載方法の問題もありますので、 被害実態そのものを必ずしも正確に反映しているとは限りませんが、 ただ、 相談者心理として、 クラックや雨漏りは 「有るか無いかの問題」 であり、 他の不具合のような 「程度の問題」 での判断・感じ方の個人差が出にくいため、 相談しやすいのかもしれません。

(5) 事後フォロー
「電話相談のみ」 で終わらせている割合は、 偶然でしょうが、 一般相談44%、 リフォーム44%、 シックハウス44%となりました。
言い換えれば、 56%は何らかの事後フォローが必要という判断が為されたことになりますが、 その中で 「他機関の紹介」 が、 一般相談で10%、 リフォーム18%、 シックハウス22%となっており、 残りが 「継続相談」 です。 慣れていない事案ほど他所に回す傾向があるのかも、 という意地悪な見方も考えられるところですが、 シックハウスなどは特殊な調査或いは診断を経る必要がありますから、 むしろ、 「他機関紹介」 は当然なのでしょう。
なお、 一般相談での継続相談率36%が昨年 (28%) より8ポイントもアップしていることは、 ネットでの活動を通じて自信をつけた、 或いは、 被害救済をしなければという危機感が強くなった現れとも受け取れます。

3 総 括
(1) 実態調査の性格が強かった日弁連主催の110番に比べ、 欠陥住宅ネット主催の110番は、 より被害救済に力点を置いていますが、 その主眼からすると、 電話相談のみで終わらず、 事後フォローに繋がる相談が半数にも及んだことは非常に意義深いものと言えます。

(2) 集計データとしては、 必ずしも母数が多くないものの、 昨年の110番と非常に似通った傾向であったことが印象的でした。 今後の110番で相談件数が増えていっても、 今の住宅供給市場の状況が変わらなければ、 基本的にこれらの 「割合」 自体が大きく変化することはないのではないかとも思われます。

(3) テーマであったシックハウスやリフォームの相談が少なかったことは拍子抜けでしたが、 これは被害がないのではなく、 110番のPR不足または本人が被害に気づいていないことが主な原因であろうと思われます。

(4) そこで、 課題を端的に言えば、 「テーマ設定と被害掘り起こし」 だと思います。 確かに、 相談件数が多いことは喜ばしくなく、 被害撲滅こそが運動の目的ですが、 現に被害が存在するのに表面化していないとしたら更に問題です。 欠陥住宅問題は 「知らぬが仏」 では済ませられません。 転売等による被害拡大の連鎖をどこかで断ち切るとともに、 悪質業者に対する法的責任追及が必要であり、 それによって初めて欠陥住宅被害の撲滅が一歩前進するのです。 その意味では被害掘り起こしの最大の機会が110番ゆえ、 広く110番をPRするためにもマスコミ対策が不可欠です。 今回の教訓としては、 日頃からマスメディアとの情報交換・友好関係が重要ということです。 また、 被害者本人に被害の自覚がないような場合(例えば郊外の老人世帯をターゲットにした屋根修理の訪販リフォーム等)、 相談するところにまで辿り着かないので、 潜在的被害者の掘り起こしのためには、 被害事例の実体的内容にも踏み込んでレクチャーし、 そのこともニュースにしてもらう必要があります。

(5) 最後に、 定着に向けた第2回110番としては有意義でしたが、 実施結果は 「可もなく不可もなく」 といったところでしょうか。 今後、 年1度恒例化してゆくのであれば、 「3月の最終週末」 ということを原則にしたらどうかと思います。 いずれにせよ、 被害掘り起こしのための努力・工夫が更に必要だと思います。


「欠陥住宅・シックハウス・リフォーム110番」全国集計表」
相談実施した
欠陥住宅ネット
担当エリア 実施日 述べ実
施時間
全相談
件数
内   容
①一般相談 ②シックハ
ウス相談
③リフォーム
相談
東北ネット 青森・秋田・岩手・山形・
宮城・福島
3/28・29 9.5 42 34 5 3
関東ネット 東京・千葉・茨木・栃木・
群馬・埼玉・神奈川
3/29 7 31 27 1 3
長野(準備会) 長野 3/27 3 3 3 0 0
愛知ネットワーク 愛知・静岡・岐阜・三重 3/29 5 37 32 1 4
京都ネット 京都・滋賀 3/29 6 22 18 0 4
関西ネット 大阪・奈良 3/29 6 77 60 9 8
和歌山ネット 和歌山 3/29 2 11 8 1 2
神戸NET 兵庫 3/29 6 27 20 0 6
中四国
ネット
広島 広島・鳥取・島根・山口・
香川・愛媛・徳島
3/28 6 24 17 0 7
岡山 岡山 3/29 6 0 0 0 0
高知 高知 3/29 6 0 0 0 0
九州
ネット
福岡 福岡・長崎・熊本・佐賀 3/29 6 18 18 0 0
鹿児島 鹿児島・宮崎 4/2 3 8 6 1 1
大分 大分 3/28 4 5 5 0 0
合計 304 248 18 38

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