【建築士としての感想 】 島田晴江建築設計事務所 島田晴江 建築士として参加するこの会では時には少し肩身の狭い思いを余儀なくされます。 同じ建築士という職業意識の仲間意識なのでしょうか?同時に監理業務をもっと明快な業務に出来ないかと、 考えます。 現状の建築士事務所で1人事務所以外では、 設計をする人と工事監理をする人が違う場合が多く、 又工事監理は経験が物をいう業務でして、 監理で起きてくる問題は事務所内でフィードバックされてると、 同じ問題が次に発生しない訳ですが、 机上でフィードバックされても本人に痛みが余り無く、 腕のいい監理の元では、 発生する問題も、 難なく処理されています。 昔は若い人も現場に同行させ、 現場を見せ現場を覚える機会がありましたが、 最近では高知でも、 そういう風に若い人を丁寧に育てる事務所が数少なくなってきています。 若い人達の気質も建築技術者というイメージからデザイナーというイメージに変わりつつあります。 木造の現場では、 特に在来工法の現場では、 建築士は大工の棟梁とは建築技術ではサシで話しが出来ませんし、 難しい仕口の事など言われると、 タジタジになる人が多く、 大工さんにお任せ主義になってしまっている現状です。 造り手とは (大工) 違う観点で、 現場をチェックできるものがあれば、 又それを現場写真とセットで竣工時に施主に渡す事が出来れば、 欠陥住宅は減少するのではと考え、 和歌山大会の後、 丁度今設計している住宅をモデルとして、 試作シートを造ってみました。 木造の基礎、 土台、 大引き根太と部材に対応するシートとしました。 チェック項目に合わせて、 1つずつ確認作業を現場で行います。 その項目でこの事が大事ですよという事もシートには予め記入しています。 何人かに送って、 感想を聞いて、 少しずつ手直しをする予定ですが、 やっていて感じた事は、 これ素人でも出来るし、 事務所の若い人でも、 シートに従っていけば現場監理が出来ます。 監理業務を経験から、 形に置き換え、 記録を撮る明快な方法へ、 建築士の皆さん変更しませんか?そうする事で監理業務の経費が必要な事を理解していただけると思いますし、 建て売り住宅では、 そういったシートをお見せすれば、 購入者に安心を売る事間違いないです。 建築士の世界の自浄能力を上げましょう。 そして欠陥住宅?過去にそんな言葉ありましたねという時代を建築士の手で造りましょう。 【欠陥住宅の被害に遭って】 九州在住・匿名希望 平成元年九月、 念願の我が家が建ち始めた。 上棟式では、 建築会社はビデオを撮り、 コマーシャルに使っていた。 母は十時と午後三時のお茶を出すのを楽しみにしていた。 しかし、 大工固持が終わり、 左官工事に入る頃になり、 工事が進まなくなった。 左官が来ないのである。 忙しいから…と別の左官が来たが、 大工工事がずさんで、 ボードが張り出しているので、 左官工事ができないと言う。 おかしいと思い、 業者立ちあいのもとで、 ラスボードを剥がすと筋かいが切られていた。 天井から覗くと筋かいが入っていない所がみつかり、 通り柱が設計図では六本の所が、 三本になっており、 その残りの三本にも欠損があった。 その後次々とみつかった信じられないようなミス。 柱の倒れは、 1・8mに対し最大23㎜。 工事は続けられる状態ではなかった。 社会的にこんな事が許されるはずがないという思いのみで、 裁判に踏み切った。 それから八年。 遅々として進まぬ裁判に、 先の見通しもつかずにいた時、 以前から拝読していた本の著者である明治大学の中村幸安宣誓に電話をし、 無理をお願いして来て頂いた。 中村先生のお話しをお聞きし、 鑑定書ができあがり、 弁護士の山上知裕先生を紹介して頂いた時、 やっと世の中の人を信じられる気持ちになった。 |
(欠陥住宅全国ネット機関紙「ふぉあ・すまいる」第1号〔1999年5月20日発行〕より) |
第6回和歌山大会特集 - 和歌山大会に参加して
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