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第9回札幌大会の報告と総括

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粟生 猛(北海道・弁護士)
1 平成 12年5月 27日と 28日の両日、 札幌のリフレさっぽろライラックホールにおいて、 第9回欠陥住宅被害全国連絡協議会が開催されました。 出席者は、 弁護士 30名、建築士10名、一般32名、合計約72名でした。

2 初日は、 札幌弁護士会消費者保護委員会委員長高橋剛弁護士の歓迎の挨拶の後、 立命館大学の松本克美教授が 「欠陥住宅裁判の動向と法的問題点」 と題して講演されました。 欠陥住宅をめぐる裁判・学説の動向と今後の課題について大変分かりやすく分析していただきました。
札幌市の西代明子一級建築士には、 「欠陥住宅を生み出さないために」 と題して、 請負契約による住宅建築の流れと責任という観点から、 建築士とのコミュニケーションの緊密さが欠陥住宅発生防止のために重要であることなどについて、 欠陥住宅を考える会代表黒田七重さん( 「裁判官は建築を知らない!?」 民事法研究会発行の著者) には、 業者との交渉などの豊富な経験を踏まえ、 スライドを使って具体的欠陥の説明と業者との対応の経過等について報告していただきました。 黒田さんの、 欠陥住宅発生防止のためには、 まず住居が基本的人権の基礎であることについての市民の意識改革が必要であるという訴えはとても重要な指摘だったと思います。
神戸市の野口志乃一級建築士には台湾大地震による被害の状況について報告していただきました。 当初予定されていたアピール宣言案の採択は事情により延期されました。
懇親会では、 各地のネットの活動状況などの報告がなされ盛り上がりましたが、 地元札幌からの参加者が少なく、 現地責任者としては、 いささか恥ずかしい思いをしました。
翌日は、 「消費者のための欠陥住宅判例 〔第1集〕」 (民事法研究会発行) の発刊を記念して永井光弘弁護士(兵庫県弁護士会) による簡潔かつ的確な判例紹介がなされました。 河合敏男弁護士(東京) は、 一審で認められなかった基礎の欠陥が、 東京高裁で認められたケースについて報告されました (このケースは、 業者側が上告しましたが、 平成 12年9月7日、 上告棄却となり 「垂れ流し基礎は欠陥である」 との判決が確定しました)。 蓑原伸樹一級建築士は、 「鑑定書(調査報告書) の作り方 続~勝つための鑑定書作りの工夫」 と題して、 コンピューターを使って、 欠陥内容を分かりやすく視覚化する方法など、 画期的といえる鑑定書作成方法について解説されました。
このように、 大会の内容は非常に充実していましたが、 会場が札幌中心部から遠いため、 アクセスが悪かったこと、 受付がスムーズにいかず、 参加者の方にご迷惑をおかけしたことなど、 反省点も多々ある結果となってしまったことは、 すべて、 現地責任者である私の責任です。 この場をお借りして、 お詫び申し上げます。

3 札幌弁護士会では、 住宅品質確保法に基づく紛争処理機関の指定を申請するか否かについて、 現在、 プロジェクトチームを組んで検討しています。 その結論はまだ出ていませんが、 検討を続ける過程で、 札幌の弁護士の欠陥住宅問題に対する認識もこれまでにないほど深まってきています。 建築士の欠陥住宅問題に対する認識も同様に深まってきています。 この変化が、 近い将来の北海道ネット結成への基礎となるであろう手応えを感じています。   以 上

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