欠陥住宅被害全国連絡協議会 第15回札幌大会アピール② 欠陥住宅訴訟への弁護士報酬敗訴者負担制度の導入に断固反対する |
私たち欠陥住宅全国ネットは、 阪神大震災の際に欠陥住宅により多くの人命が失われたことに鑑み、 消費者保護の立場から欠陥住宅被害の予防と救済を行うために弁護士・建築士などが集まって、 1996年12月に結成されたNGOである。 政府は、 「司法改革」 の実現を急ピッチで進めようとしており、 それを担う司法制度改革推進本部・司法アクセス検討会では、 学者委員や経済界委員などが中心となって、 弁護士報酬敗訴者負担制度を全面的に導入しようとしている。 しかし、 この制度を導入することは、 以下の理由により、 欠陥住宅被害の司法的救済の道を著しく困難にするので、 強く反対するものである。 現在の制度でも、 欠陥住宅訴訟においては、 被害者が勝訴した場合には、 弁護士費用も損害の一部として実損害額の1割が加算されて認められることがあるが、 被害者側が敗訴しても業者側の弁護士費用まで負担する必要はなく、 実質的に片面的敗訴者負担制度が実現されている。 ところが、 今回の弁護士報酬敗訴者負担制度が導入されると、 被害者側が敗訴した場合には業者側の弁護士費用まで負担させられることとなる。 また、 被害者側が勝訴しても請求金額の一部しか認められなかった場合には、 認められなかった金額に応じて業者側の弁護士費用を負担しなければならないことになり、 一部勝訴により賠償金の支払いを受けられたとしても、 それを超える弁護士費用を負担しなければならないことすらありうることとなる。 建築紛争は、 専門的知識経験を必要とし、 一方当事者は建築事業者であるのに対し、 他方は一般消費者であって、 当事者間に情報の質・量に大きな格差があるうえ、 欠陥の存否及び補修費用額についての争いがあって、 訴訟の結果を予測することは困難である。 また、 一般市民にとって建築は最大規模の経済行為であって、 建築費用の支弁に預貯金を費消したり多額の債務を負担しているのが通常であり、 経済的にも困難な状況にあるので、 被害者に有利な現在の片面的敗訴者負担制度の下でも、 自分の依頼する弁護士の着手金及び、 建築士の鑑定費用などを工面できないために、 訴訟を断念せざるを得ないケースも多い。 このうえ更に、 不透明な予測の下に敗訴した場合には業者側の弁護士費用まで負担しなければならないということになれば、 消費者にとっては余りにも経済的リスクが大きく、 提訴に対して大きな萎縮的効果をもたらすことは明らかである。 以上により、 私たちは、 欠陥住宅訴訟への弁護士報酬の敗訴者負担制度の導入に断固反対するものである。 2003年5月31日 欠陥住宅被害全国連絡協議会会 (欠陥住宅全国ネット) 第15回札幌大会参加者一同 |
第15回大会アピール ②「欠陥住宅訴訟への弁護士報酬敗訴者負担制度の導入に断固反対する」
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