本年6月、 住宅の品質確保の促進等に関する法律 (以下 「住宅品質確保促進法」 という。) が成立した。 同法は、 「新築住宅の契約に関する瑕疵保証の充実」、 「性能表示制度の創設」、 「性能表示住宅についての紛争処理機関 (指定住宅紛争処理機関) の創設」 を主要な内容としている。
指定住宅紛争処理機関は、 建設大臣が、 弁護士会又は民法第34条の規定により設立された法人の申請に基づいて指定する (住宅品質確保促進法62条)。
日本弁護士連合会は、 指定住宅紛争処理機関の充実発展をめざすことを基本方針とし、 現在、 建設省との間で、 指定住宅紛争処理機関の体制や紛争処理の参考となるべき技術基準 (住宅品質確保促進法70条) 等についての協議を行っている。 そして、 全国の各弁護士会の大部分が、 指定住宅紛争処理機関として指定を受けるとの意向を表明している。
紛争処理の参考となるべき技術基準については、 「不具合事象と基本構造部の瑕疵の相関関係に関するガイドライン」 が建設大臣告示として定められ、 住宅紛争処理支援センター (住宅品質確保促進法78条) が、 「不具合事象の発生原因特定の検査方法」、 「不具合事象の発生原因特定のために必要な機器の使用方法」、 「修補工事の実施方法」、 「修補工事の費用の積算方法」 に関する技術関連資料集を提供することになっている。
指定住宅紛争処理機関が、 欠陥住宅被害を真に救済することができる機関となり得る否かは、 上記ガイドラインと技術関連資料集の内容の良否にかかっている。
ところが、 現在検討されているガイドラインと技術関連資料集の内容、 なかんずく 「修補工事の実施方法」 の内容についてのイメージ案は、 欠陥住宅被害の救済のためには、 いずれも不十分なものである。 たとえば、 基礎断面寸法等の不足という基本構造部分の瑕疵が原因と考えられる基礎の沈下の場合であっても、 「沈下が既に沈静化していると考えられる場合は、 基礎の天端ならし等の手法も想定される。」 とし、 補修費用も 300万円を上限とするとしている。 しかし、 基本構造部分の瑕疵が存在するにもかかわらず、 「沈下が既に沈静化している」 との理由で、 表面的な修補のみを行うことは、 建物の安全性確保の観点からも、 交換価値確保の観点からも、 極めて問題であるし、 被害者の納得も到底得られない。
建設省及び住宅紛争処理支援センターは、 現在検討されているガイドラインと技術関連資料集の内容を全面的に見直し、 指定住宅紛争処理機関が欠陥住宅被害を真に救済することができるガイドライン及び技術関連資料集を策定すべきである。
また、 日本弁護士連合会及び全国の各弁護士会は、 建設省に対し、 そのことを強く要請すべきである。
以上アピールする。
1999年11月20日
欠陥住宅被害全国連絡協議会名古屋大会参加者一同
「名古屋大会アピール」 を採択 弁護士 齋藤 拓生 (仙台)
①瑕疵保証制度の強化、 ②性能表示制度、 ③住宅紛争審査会の創設を中核とする住宅品質確保促進法が、 本年6月から、 いよいよ施行されます。
住宅品質確保促進法は、 欠陥住宅被害の解消・救済を目的とするものですが、 そのような目的が実現されるか否かは、 施行令、 大臣告示の内容、 法律の運用如何にかかっています。
とりわけ、 紛争解決機関である住宅紛争審査会が、 欠陥住宅被害を適正に解決することができるか否かが重要です。 ところが、 建設省が検討している紛争解決のためのガイドライン、 修補工事の内容では、 欠陥住宅被害を適正に解決することは、 到底困難であるといわざるを得ません。
そこで、 名古屋大会では、 指定住宅紛争処理機関が欠陥住宅被害を真に救済することができるガイドライン及び技術関連資料集の策定を求めるアピールを採択し、 建設省等に対して、 執行しました。 以上