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耐震偽装問題の解決と再発防止を求めるアピール

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姉歯元一級建築士による構造計算書の偽装に端を発する、いわゆる耐震偽装問題は、「住宅の安全」に対する国民の信頼を大きく損ない、我が国における建築生産システムを根底から見直す必要を迫るものでした。
国は、この問題に関する具体的対応を協議するための「構造計算書偽装問題対策連絡協議会」の他、制度的問題点を検討する「構造計算書偽装問題に関する緊急調査委員会」および「社会資本整備審議会建築分科会基本制度部会」を設置するなどして対応したうえ、今国会に建築基準法等の改正案を提出しました。
しかし、これらは、国や金融機関等の責任を等閑視し、公的支援の名の下に被害住民に過酷な負担を押しつける弥縫策にすぎず、真の被害者救済からは程遠い現状です。また、緊急調査委員会の最終報告や基本制度部会の中間報告を見る限り、提案内容は小手先の制度改革にとどまっており、再発防止のために決して充分なものとは言えません。
そこで、当協議会は、この問題が人権としての「安全な住宅に居住する権利」に対する重大な人権侵害であることに鑑みて、具体的な被害救済と再発防止に向けた建築生産システムの構築のため、以下の点につき、改善・改革を求めます。



1 被害者救済について
偽装物件の設計・施工・監理および販売に直接携わった者はもとより、建築確認において偽装を見過ごした確認検査機関や特定行政庁ならびに国、さらには担保評価を誤るなどして高額のローンを設定した金融機関は、各々に課せられた責任を自覚し、「公的支援」の名の下に無責を装う姿勢に終始することなく、真摯かつ早期に被害者が満足するに足る真の被害救済にあたることを求める。

2 建築確認検査制度について
建築基準法は、建物の安全性に関する最低限の基準や制度を定めたものであるから、建築確認申請に構造計算書等を含む設計図書の添付を義務づけ、また、民間開放された確認検査業務を見直し、建築基準適合判定資格者検定を高度化して義務的研修と資格更新制を導入して審査能力を確保する一方、建築確認の申請を役所に一元管理させ、民間検査機関の誤った完了検査に対する取消権限を与えるほか、「住宅検査員(仮称)制度」を導入して同検査員を建築主事の下に置き、検査の公正中立性を担保し、「行政」が「現場を見張る」体制を確立すべきである。そして、コンクリート打設や溶接等、現場に張り付き施工を検査することが求められる重要な工程については、施主の費用で住宅検査員を現場に常駐させて中間検査を行うシステムを義務化するとともに、完了検査済証を住宅ローンや建物保存登記手続における必要書類とすることで、検査の徹底を図るべきである。

3 建築士制度について
建築士の監理業務を適正化させるため、施工業者と監理建築士を完全分離させ、無資格者による建築士事務所の開設を禁止し、「登録監理建築士制度(仮称)」を導入するとともに、建築士の独立性と職能モラルの維持向上のため、全建築士を建築士団体に強制加入させるべきである。

4 保険制度等について
建物の設計・施工・監理、販売等に関わる全ての業者に対して責任保険の加入を義務づけ、住宅取得者にも住宅性能保証に準じた物保険の加入を義務づけるとともに、物保険の保険会社によるインスペクター制度とローン会社によるノンリコースローン制度の導入により検査の厳格化を図るべきである。

5 住宅安全基本法(仮称)の制定
「安全な住宅に居住する権利」の人権性を宣言し、その擁護と増進のための国・地方公共団体・事業者の責務や住宅に関する安全基準を策定する住宅安全委員会の設置等を定める「住宅安全基本法(仮称)」を制定すべきである。

2006年5月27日
欠陥住宅被害全国連絡協議会(欠陥住宅全国ネット)
第20回静岡大会参加者一同

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