風呂橋 誠(広島・弁護士) |
平成13年3月24日午後3時28分, 中国・四国地方を突然大地震が襲いました。 安芸灘の深さ51キロメートルを震源地とするマグニチュード6. 4クラスの地震で, 震度5を記録したところも多数有りました。 地震の少ない当地方ではまれにみる大地震であり, 住民は恐怖におののき, 住宅被害も多数発生しました。 この芸予地震による住宅被害は, 全壊49, 半壊344, 一部損壊3万3609棟 (5月8日現在) であり, 屋根瓦の落下が非常に多かったのが特徴とされています。 このような被害に遭った方の多くは, 初めは 「地震だから仕方ない」 と思い, 諦めておられたようですが, 次第に周辺の被害状況が明らかになるにつれて, 「なぜ, 自分の家だけがこんなひどい被害にあったのか」 と思うようになられたようです。 地震後1ヶ月経過したころから広島欠陥住宅研究会への相談が急増しました (15件程度)。 相談事例の中には, ①建物の基礎が真っ二つに折れ, 建物全体が傾いたものや, ②団地の半数近くの住宅で地盤が10数㎝沈下して, 建物や擁壁に亀裂が入ったものがありました。 研究会で簡易な調査を行ったところ, ①では, 住宅金融公庫の仕様書で, 「基礎は鉄筋コンクリート」 と記載されていたにもかかわらず, 実際には, 布基礎の立ち上がりにもベースにも全く鉄筋が入っていなかったことが判明しました。 また, ②では, 多くの住居で地盤が軟弱であり, 造成時に盛土部分の転圧が不足していたことが原因と考えられました。 いずれも, 地震がきっかけとはなっていますが, もともと地盤や基礎の欠陥があった事例といえます。 しかし, このようなケースで 「欠陥」 を立証して業者の責任追及まで考える人は少なく, 多くの場合には泣き寝入りとなっているのではないでしょうか?屋根瓦の落下についても, 告示で要求されている緊結を怠った手抜き工事によるケースも少なくないようです。 こうした欠陥住宅被害が地震の際に顕在化した場合に, いかに迅速に相談を受け, 適切な調査と証拠保全を行うか, その体制づくりが全国ネットの今後の課題であると思います。 |
芸予地震の被害と欠陥住宅相談 風呂橋 誠(広島・弁護士)
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