【連載】欠陥住宅訴訟と建築士①─加害者側に立つ建築士─ |
建築士 平野 憲司(大阪) |
欠陥住宅全国ネット設立後、 欠陥住宅問題を解決するために積極的に参画する建築士が増えていることは大変良いことです。 また、 建築士の参画によって建築士の専門技術が訴訟に生かされ、 勝訴判決を勝ち取る成果も上がっています。 しかし一方、 欠陥住宅訴訟で加害者側に立つ建築士も増えています。 そのため、 私が関与する訴訟では相手側建築士の書面に対して意見書を作成し、 高度な専門技術で争う機会が増えています。 双方の証拠資料が膨大となり、 訴訟の長期化の原因にもなっています。 また、 私のところに一審敗訴で持ち込まれる事件も、 多くは加害者側に立つ建築士の調査・鑑定書、 意見書、 証言等が証拠として採用されています。 このように、 欠陥住宅訴訟の長期化や一審敗訴の原因の一つに、 加害者側に立つ建築士の関与があります。 そして加害者側に立つ建築士は経歴も立派で優秀な専門技術を持つ建築士が増えています。 欠陥住宅訴訟で、 加害者側に優秀な建築士が関与して、 苦々しい訴訟を経験された弁護士も多いのではないでしょうか。 私は優秀な建築士が加害者側の立場で、 欠陥住宅訴訟に関与していることを大変残念に思います。 そして彼らには以下の社会的視点が欠如しています。 ① 住民のための安全な住宅建設を目指す。 ② 欠陥住宅問題を消費者運動の発展とつながりの中で正しく捉える。 ③ 消費者、 弁護士、 建築士等の交流を図り、 相互理解を深めて、 欠陥住宅の諸問題の解決に努める。 私は、 建築士が社会の発展のために専門技術を生かす立場に立つようにしなければならないと考えます。 そのためには、 日本建築家協会、 日本建築士会連合会、 日本建築士事務所協会連合会、 全国建設業協会等の諸団体が、 職能団体として欠陥住宅を撲滅するために、 上記の立場を表明することが大事だと考えます。 欠陥住宅全国ネットとしても諸団体に申し入れを検討していただきたいと思います。 次号から連載で、 加害者側に立つ優秀な建築士が欠陥住宅訴訟でどのような手口で専門技術を展開しているか、 その具体的事例を紹介します。 また、 私が意見書でどのように反論しているかも紹介します。 欠陥住宅訴訟に関与されている弁護士、 建築士の参考になればと思います。 |
連載~欠陥住宅訴訟と建築士①─加害者側に立つ建築士─ 平野憲司 (大阪・建築士)
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