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鑑定書づくりに役立つ建築士のための法律基礎知識 千葉晃平(仙台・弁護士)

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<勝つための鑑定書づくり>
鑑定書づくりに役立つ建築士のための法律基礎知識
千葉晃平(宮城・弁護士)

1 はじめに
高知大会2日目に標記題名の話をさせていただきました。
経験豊かな建築士の先生方を前にしてのお話しで、さらに、前夜は、高知の皆様にアットホームな雰囲気・美味しい皿鉢料理など心のこもった懇親会をご準備 いただき、ついつい夜更かししてしまい、ご期待に添えるお話しを出来たか甚だ不安ですが、全国大会で報告の機会を与えていただきましたら原稿を出すのが慣 例とのことなので、再度、報告させていただきます。

2 概要
内容は、「1 訴訟における私的鑑定書・報告書の位置づけ」「2 法的判断の特色」「3 民事訴訟における被害者側建築士の活動~実務上の観点から」との項目のもとに、
①民事訴訟の基本的流れ~「言い分」を「証拠」で判断する
②主張・立証責任~被害者側が「言い分」「証拠」を
③なぜ、建築基準法違反なのに請負契約は無効とならないのか~公法と私法、責任論と損害論、違法性判断と法律効果判断など
④裁判所の思考パターン~いわゆる3段論法など
⑤民事訴訟において予定されている活動~主として私的鑑定書・報告書の作成、証人尋問 などです。

なお、時間の関係上、レジュメにあげたいくつかの項目をとばしてしまいましたが、予定していた知識の殆どはお話しできたかと思います。ただ、会場或いは 大会終了後にもご質問をいただいたことから、私の説明の不備はさておくとしても、法手続・実務の運用等については、まだまだ疑問点が存することと思われま すので、これらの点については、事件を一緒に担当される弁護士や各地域ネットの学習会に参加されている弁護士に率直にご質問されるのが宜しいかと思いま す。

3 被害者救済の観点
この点についても、レジュメに項目としてあげていたのですが、お話しできませんでした。  もっとも、私は、「被害者救済の観点」が最も重要なことのひとつと思っています。もちろん、「被害者救済の観点」によって過度・無理な主張・立証を求め るものではありませんが、欠陥住宅問題に関する議論・研究の進化の一方で、「被害者救済」という初心・原点を是非とも忘れずに欠陥住宅問題に取り組みたい という自戒を込めて上げさせていただいたものです。

4 参考文献など
東京地裁建築訴訟対策委員会の「建築鑑定の手引き」(判例時報1777号3頁~)はご参照いただければと思います。ただ分量が多く専門的にもなっていますので、まずは「Q22」(7頁)からご参照いただければ宜しいかと思います。
また、法律用語の辞典として、手軽かつそれなりの内容の「法律学小辞典(第4版)」(有斐閣)は、疑問点などを調べるのに便利かと思います。

5 さいごに
高知大会に参加させていただき、とても充実した議論・報告を受け、極めて有意義な2日間を過ごすことができるとともに、改めて、欠陥住宅被害の深刻さ、 救済の必要性を痛感しました。このような有意義な機会を与えていただきました高知の皆様、事務局の皆様にお礼を申し上げ、私の報告を終わりにしたいと思い ます。
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