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~第8回名古屋大会に参加して~

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■ 小倉恢子 (全国消費生活相談員協会中部支部)

名古屋で開催された大会に初めて参加しました。
建築基準法が改正され、 住宅の品質確保の促進等に関する法律が成立し、 欠陥住宅が少なくなることが期待される時期に開催された大会でした。
建築基準法の改正により導入された主要構造部の中間検査制度は自治体により検査の対象が異なり、 消費者にとって解りにくく、 名古屋市と愛知県のように隣接する自治体の制度と混同し、 勘違いしやすい制度です。
シックハウスの被害者の報告がありました。 シックハウスが欠陥住宅であると認められた意義は大きかったと思います。 シックハウスの原因物質については、 厚生省が指針値を提案しているホルムアルデヒド以外の物質は、 残念ながら行政サイドでは確定されていません。 被害者が被害の因果関係を証明しなければならない現実に問題があります。 住宅メーカーがこの住宅で健康被害はあり得ないと主張するなら、 「どういう建材を使い、 それにはどのような化学物質がどのくらい使用され、 其の全てが健康被害の原因ではない」 と証明すべきです。 それにも関わらず消費者が健康をそこねたとすれば初めて消費者が因果関係を証明しなければならないでしょう。 消費者が安全データーを要求しても 「企業秘密につきお答え出来ません」 がまかり通る世界に憤りを覚えます。
今年2月に住宅品質確保促進法による性能表示との紛争処理の参考となる技術基準の素案が公表され、 意見公募がありました。 消費者がどのくらいこの技術的基準を理解した上で選択出来るのでしょうか。 消費者に解りやすい説明と情報の公開が義務づけられなければ、 新法は生かされないと思います。 主要構造部について、 ハウスメーカーが消費者に図面と仕様書を渡さない。 渡すのは設備と内装に関するものだけ、 消費者が要求してもコピーは出さない、 チラッと図面を見せるだけという現実があります。 「建設省が証明を取った住宅であり、 安全性は証明されている。 詳細は企業秘密である。」 とのことだが、 これでは設計に問題があるのか、 施工ミスなのか判断が出来ません。 法改正と新法の成果は 「情報の公開」 がキーワードになると思っています。


■ 平岩 保 (三共建築設計事務所)

「欠陥住宅被害全国連絡協議会」 の第8回大会が99年11月21、22の両日、 名古屋市で開かれた。 同会は欠陥住宅問題の解決を目指す各地の弁護士、 建築士、 消費生活相談員などによって3年前に結成された。
私は97年2月に発足した 「欠陥住宅をつくらない住宅設計者の会」 で活動してきたが、 同会への参加は今回が初めてであった。

シンポジウムの内容は大きく、 (1) 中間検査制度の導入にむけて。 (2) 名古屋からの事例研究 「シックハウス」 の被害救済。 (3) 徹底討論・ 『報告書・鑑定書の書き方』 (4) 住宅品質確保法の問題についての4つであった。
(1) については京都府立大学大学院生山根直生氏による 「100自治体アンケートから見えてくるもの」 としてアンケートの分析の報告であった。 分析の作業は労多しとするも現在の自治体に十分な検査ができる体制になく、 報告からは中間検査が欠陥住宅建築防止に有効かどうかの本質的な問いかけが見えてこず、 会場からも 「ポイントがズレている」 との指摘があったが、 実なき結果に終わっている。
(2) については、 シックハウス被害にあった建売住宅を購入した男性本人による実例報告。 「喘息・妻のクモ膜下出血による突然死・喘息治療の際のステロイドで片脚障害者・長期入院により廃業へ」 と7年に及ぶ具体的経緯の報告とそれでも医学的な実証で戦うのではなく、 メーカー、 ミサワホームの社会的イメージダウンを喚起する 「マスコミイメージ作戦」 での対応に、 シックハウス問題の難しさを改めて知らされる。
(3) については、 余りにも建築及び建築関係法令の知識のない裁判官にいかに分かり易く欠陥の問題を理解させるかの実戦講座。 手取り、 足取りの解説に、 こんな初歩的なことを知らないで裁判のジャッジをされたのではたまったものではない。 欠陥被害者こそいい面の皮である。 現実対応からすれば止むを得ないことであるかもしれないが、 工学的原理原則にたつ建築設計者が最も素朴な違和感を抱くところである。 それはともかく、 一級建築士平山建治氏の 「報告書、 鑑定書の書き方」 は労作で、 タタキ台として参考になると思う。
(4) については99年6月成立し、 現在検討されているガイドラインと技術関連資料集の内容、 とりわけ 「修補工事の実施方法」 の問題点について。 例えば、 「基礎断面寸法等の不足という明らかな 『欠陥』 であっても 『沈下が既に沈静化していると考えられる場合、 基礎の天端ならし程度でもよい」 とし、 補修費用も一要素当たり 300万円を上限としている。 余りにも業者寄りの内容で、 欠陥被害救済がより困難なると予測される。
正味1日半の会議ではあったが、 全国的な情報の交換は、 リアルタイムの状況が把握でき、 有益な集まりであったと思う。


■ 柘植 直也 (弁護士)

開催の準備が遅れたため、 参加者が少ないのではないかと心配されましたが、 全国から約 100名の方が集まられ、 2日間熱心に議論が行われました。

最初のテーマである中間検査実施に関するアンケート調査報告は大変な力作であった。 全国の 107の自治体に対して行ったアンケートの結果95の自治体から回答があり、 自治体により中間検査実施の有無、 範囲、 特定工程の指定に相当ばらつきがあることが明らかになりました。 会場からは、 中間検査を中途半端に行うことによって、 かえって行政がお墨付きを与えることになり、 工事監理が形骸化している現状ではマイナスとの指摘もありました。 時間の関係もあり、 聴衆にとってはやや未消化となった点もありましたが、 今回のアンケートだけに終わらせず、 更に今後、 各地のネットワークで手分けし、 各自治体にヒアリング調査し、 あるべき中間検査を提示すべきだと思われます。

続いて行われた愛知県在住のシックハウス被害者徳田裕三さんの講演がありました。
内容は、 新築住宅に入居後、 喘息及びその治療による後遺症、 婦人のクモ膜下出血による突然死等で廃業に追い込まれ、 一人で業者に立ち向かっておられるというショッキングなものでした。 報告の中では、 弁護士に対する痛烈な批判もあり、 内容が切実であったこともあり、 我々自身身につまされる思いでした。

20日から21日に掛けては、 宮城の平山建治一級建築士が提供した鑑定意見書を叩き台に、 吉岡和弘弁護士の進行により、 鑑定書をどう書くべきかにつき議論されました。 裁判所を如何に説得するかとの観点から、 欠陥箇所をどう特定するか、 欠陥現象をどう表現するか、 相当な補修方法をどう根拠づけて記載するか等につき、 活発に議論が為されました。 裁判官に如何に理解してもらうかという点は、 我々にとって大変大きな問題であり、 鑑定書のみでなく、 例えば尋問で模型を使って説明する等工夫ができないものでしょうか。 また、 裁判官に理解してもらう役目は弁護士の仕事であり、 弁護士が的確に理解していることが前提になります。 今後、 さらに議論を深めるとともに、 弁護士が書く準備書面についても同様な観点から議論する必要があるとの意見が多数出されました。 いずれにせよ、 名古屋に全国より多数お集まり頂き、 愛知ネットワークの立ち上げを盛り立てて下さるとともに、 熱心に議論を頂き、 誠に有り難うございました。

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