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消費者のための欠陥住宅判例[第4集]

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・本書利用の手引

【1】戸建て
① 新築売買
〔木造〕
1  京都地裁平成16年12月10日判決
地盤の安全性の欠如、基礎の構造安全性の欠如、居住性能の欠如の瑕疵を認定し、建物撤去費用、地盤改良費用、新築建物の建築費用の損害賠償を認めた事例。

2-1 仙台地裁石巻支部平成17年3月24日判決
2-2 仙台高裁平成18年3月29日判決
布基礎底盤部分の厚さ・幅の不足、布基礎底盤部のコンクリートかぶり厚さ不足、捨てコンクリートの不施工、断熱材の不施工等の欠陥を認定し、建物をジャッキアップしたうえで基礎を再施工する補修方法による損害賠償を認めた事例。

3  名古屋地裁平成17年3月31日判決
「建築工事標準仕様書・同解説」等を基に、基礎かぶり厚不足等の欠陥を認定し、また、建物 建築前から存する擁壁の瑕疵(底盤不存在)につき、売主は、敷地が十分に強度を備えた安全なものであることを確認して購入者に提供すべき義務が存するとし て、不法行為に基づき、売主、施工業者、建築士の責任を認め、曳き家による基礎工事のやり直し費用等の損害賠償が認められた事例。

② 中古売買
〔木造〕
4  神戸地裁尼崎支部平成16年3月23日判決
空積み、重大な亀裂、不同沈下等の擁壁瑕疵により本件売買契約はその目的を達成することができないとして、瑕疵担保責任による契約解除を認め、売買代金全額の返還と関連損害の賠償を認めた事例。

③ 請負
〔木造〕
5 京都地裁平成16年3月31日判決
請負人が建築した建物に重大な瑕疵があって建て替えるほかないと認められる場合には解除を 認めるべきとし、壁量不足、筋違金物の欠如などを認めながら、ホールダウン金物欠如、剛床仕様欠如、偏心率違反、層間変形角については法適用上の問題で瑕 疵ではないとして解除を認めず、補修費用の損害賠償を認めた事例。

6 京都地裁平成17年3月29日判決
新築請負契約による木造3階建て建物において、床面の水平剛性につき、構造計算の基礎自体 に問題がある場合には、構造計算によって確かめられる安全性を有するものであるとは認められないとされ、施工業者の瑕疵担保責任、建築士の不法行為責任が 認められ、床面の水平剛性確保のための補修費等の損害賠償が認められた事例。

7 大阪地裁平成18年2月23日判決
「OMソーラーハウス」という規格住宅について、基礎の欠陥に加えて、屋根下地の素材や断熱材の継ぎ手部分の接着剤の施工、土間リストの不施工の瑕疵を認定し、建物を解体撤去して建て替える費用等の損害賠償が認められた事例。

8 仙台地裁平成18年8月9日判決
基礎(設計図書違反、基礎底盤のかぶり厚さの不足等)、軸組の欠陥(筋交い量の不足、筋交 いの取り付かない柱と横架材の緊結の欠如)等原告が主張した瑕疵のほぼすべてを認めて、請負人の瑕疵担保責任、基礎工事請負業者および建築士(監理放棄) の不法行為責任を肯定した事例。

〔鉄骨造〕
9 静岡地裁沼津支部平成17年4月27日判決
(1) 新築請負契約による鉄骨造(ラーメン構造)2階建て建物の溶接欠陥等につき、①現場補強工事が可能で足りる、②除斥期間等の施工者側の反論を排斥し、取壊 し建替え以外に相当な補修方法はないとして、瑕疵担保責任に基づき、解体費用、請負代金相当額、慰謝料(400万円)等の損害を認め、損益相殺を行った事 例。
(2) 請負契約に基づく瑕疵担保責任は、債務の本旨に従った履行の実現をも趣旨とする制度であるとし、補修の結果、たとえば安全性が回復されても、構造や意匠な どの点に重大な変更を及ぼすことは、合意に反するものであって債務の本旨に従った履行とは認められないから、原則として許されない、とした事例。


10 名古屋地裁平成17年10月28日判決
新築請負契約による鉄骨造3階建て建物につき、柱・梁の接合部分の溶接につき、突合せ溶接 でなければならない部分につき隅肉溶接がなされているなどの欠陥が認められるとして、施工業者に瑕疵担保責任に基づき取壊し再築費用等の損害賠償を認め、 また、一級建築士による虚偽内容の確認申請および名義貸しを認め、3割の範囲で損害賠償を認めた事例。

11 神戸地裁洲本支部平成18年3月31日判決
地盤に対応する基礎の不施工という瑕疵を認め、鑑定結果における薬液注入工法ではなく、原告主張の曳き家による補修方法を採用してその損害賠償を認めた事例。

12 京都地裁園部支部平成18年3月28日判決
新築請負契約による鉄骨造スレート葺3階建てにつき、基礎の根入れの深さなど設計図書と異 なる部分、基礎構造上の欠陥、柱脚部の応力度不足などの欠陥が認められ、施工業者に瑕疵担保責任、建築士に準委任契約に付随する義務違反に基づく債務不履 行責任を認め、9割の範囲で損害賠償を認めた事例。

〔その他〕
13 東京地裁平成16年5月27日判決
地盤について致命的欠陥があると認定し、他にも防音室の遮音性能の不良、書庫土間スラブの 強度不足等の重大な欠陥があるほか、多岐、多数にわたる契約違反、欠陥部分、未施工部分があることに鑑みると、本件建物は工事の工程上では終了間際であっ たとしても、いまだ未完成であるとみるのが相当であるとして請負契約の債務不履行による全部解除を認めた事例。

14 広島高裁平成17年10月27日判決
基礎コンクリートの強度不足等を理由とする建替えが必要であるとの主張について、「建替え を要するか否かは、注文主の契約目的、その合意内容との乖離の程度、瑕疵の絶対的程度を勘案して判断するのが相当である」と判示したうえで、本件建物が地 震や台風などの振動や衝撃により倒壊する危険があるとまではいえず、建替えを要するとまでは認め難いとし、損害額については、民事訴訟法248条の趣旨に より、その額は1000万円と認めるのが相当であるとされた事例。

【2】 マンション
15 東京地裁平成17年12月5日判決
シックスハウス被害について、「本件売買契約においては、本件建物の備えるべき品質とし て、本件建物自体が環境物質対策基準に適合していることが前提とされていたものと見ることが、両当事者の合理的な意思に合致するものというべきである」と 判示したうえで、瑕疵担保責任に基づく契約解除および損害賠償請求(4791万0285円)を認めた事例。

【3】 その他
16 京都地裁平成17年2月24日判決
CP型枠ブロック擁壁の施工方法が仕様書違反であることを瑕疵と認めたうえで、本件擁壁を本件ブロックの仕様書に適合させる方法としては、本件擁壁を撤去して新たに擁壁を設置するほかないとして、CP型枠擁壁の建替えを認めた事例。

17 札幌地裁平成17年11月17日判決
高齢者に対するリフォーム詐欺で、3回目の床下への調湿剤敷布等の請負契約の詐欺取消しを認めるとともに、1、2回目の請負契約も詐欺によるものとして不法行為による既払いの請負代金の損害賠償、慰謝料が認められた事例。

18 大阪地裁平成17年10月25日判決
古家付土地の購入、増改築リフォームの事案につき、リフォーム後の建物は、建築基準法所定 の構造強度を大きく下回る危険な建物であるとして、契約の全部解除が認められ、無登録の一級建築士である施工業者に対し、代金額を超える解体工事費および 再築工事費用の損害賠償が認められた事例。

19 長野地裁諏訪支部平成18年5月11日判決
新築請負契約による重量鉄骨ALC構造3階建て店舗兼テナントビルにつき、日本建築学会の 定める標準仕様書(JASS)を満たすことは黙示の合意となっているとして、溶接不良による瑕疵を認め、修補に過大な費用を要するものではあっても、「瑕 疵が重大でない場合」(民法634条1項ただし書)にあたらないとして、瑕疵担保責任に基づき、解体やり直し費用等の損害賠償が認められた事例。

◆資料編◆
① 欠陥住宅問題に取り組むための参考文献
② 欠陥住宅ネット相談窓口一覧

・あとがき

出版情報
新着情報
2023.11.14
第54回岡山大会のご案内
2023.06.12
2023(令和5)年7月1日(土)欠陥住宅110番のご案内
2023.06.08
第53回名古屋大会配信用URLを通知しました
2023.05.17
第53回名古屋大会のご案内(2023.5.17)
2022.11.18
第52回東京大会のご案内(2022.11.18)